エンターテイメント日誌

2004年11月03日(水) From Stage to Screen <笑の大学>

現在テレビや映画で大活躍の三谷幸喜さんのホーム・グラウンドは舞台である。筆者は三谷さんが主宰していた劇団、東京サンシャインボーイズの公演を残念ながら生で観る機会が一度もなかった。

ちなみに中原俊監督で映画化された「12人の優しい日本人」は、この東京サンシャインボーイズ時代の作品である。

劇団が活動を休止する前の最終公演「東京サンシャインボーイズの罠」は劇団員・梶原善の古里、倉敷で上演されたのだが、残念ながら筆者が思い立った時には既にチケットは完売していた。1994年のことである。劇団が活動を再開する公演「リア玉」(リア王じゃありません、念のため)は2024年9月6日よりシアタートップスで公演されることが発表されているので、その時は是非観に往きたいと考えている。

そういう訳で筆者は遅れてきた三谷ファンなのだが、東京サンシャインボーイズ後に三谷さんが書いた芝居については主な作品は概ね観てきたつもりだ。筆者が選ぶ三谷作品(舞台)のベストは・・・

1.彦馬がゆく 2.笑の大学 3.君となら 4.オケピ! 5.アパッチ砦の攻防

である。

それにしても、ふたり芝居である「笑の大学」を観劇したときは、まさかこれが映画化されるなんて考えてもみなかった。

1996年読売演劇大賞最優秀作品賞を受賞した「笑の大学」は完璧な傑作である。舞台で完結している作品だし、これを映像にしてオリジナルに拮抗する作品に仕上げるには至難の業。だから監督をオファーされた星護さんが「私には無理だ。」と何年間も固持された気持ちは痛いほど分かる。しかし、最終的に三谷さんの熱意に応えて星さんは果敢に挑戦される決意を固めた。

筆者の映画の評価はC+だ。星さんはよく頑張った。当時の浅草の雰囲気が出ていたと想うし、後半次第に激しく動き出すカメラワークも見事である。しかし如何せんやはりふたり芝居を映画にするなんていうのは無理難題過ぎたのだ。役所広司と稲垣吾郎のコンビも熱演なのだが、舞台を知っている者の目から見れば西村雅彦と近藤芳正の丁々発止のやり取りを上回るものではなかったという厳しい裁定を下さざるを得ない。

しかしまあ、舞台を観ていない人にとっては十分愉しめる作品に仕上がっているのではなかろうか?コメディとして秀逸だし、非の打ち所のない脚本なので。

それにしても、本間勇輔さんが書いた「笑の大学」のテーマ曲が、映画「甘い生活」の音楽(作曲:ニーノ・ロータ)そっくりだと想ったのは筆者だけであろうか?(モーリス・ジャールが書いた「インドへの道」のアデラのテーマにもよく似ている)

「笑の大学」の映画化は必ずしも成功したとは言えないけれど、是非「新選組!」と同じ時代に生きたある写真館の家族の物語「彦馬がゆく」とミュージカル「オケピ!」も映画化して欲しいなぁ。


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]