お寒い映画といえば勿論「コールドマウンテン」のことである。ひじょ〜に退屈な映画で、上映時間2時間40分が拷問のようだった。評価はC-。
映画宣伝部はこれを「風と共に去りぬ」に匹敵する大恋愛映画として売りたいようだが、とんでもない。勘違いも甚だしい。アメリカの南北戦争を背景にしているという点だけが共通しているが「コールドマウンテン」が「風と共に去りぬ」と根本的に違うのが登場人物たちの志の低さである。スカーレット・オハラには南部人としての気高い誇りがあった。そしてタラという土地への尽きることのない愛情があった。タラを守るためには百姓仕事も率先してした。しかし、「コールドマウンテン」のヒロインには生活力もなければ土地への愛情もなく、ただ一目惚れした男のことを想ってオロオロするだけ。その相手の男にしても、愛に生きるなんて奇麗事を言ったところで所詮は卑怯な脱走兵である。あのならず者のレット・バトラーでさえ滅びゆく南部を見るに見かねて銃を握るではないか。「コールドマウンテン」にはそのヒロイズムが決定的に欠けているのである。兎に角、出てくる登場人物たちがことごとく感情移入できない駄目人間というのが痛い。
アンソニー・ミンゲラ監督の演出と脚色はアカデミー賞を沢山受賞した「イングリッシュ・ペイシェント」の頃から感じていることなのだが、メリハリに欠けて描写が紋切り型なんだな。単調なうえに上映時間がだらだらと長すぎるというのもいただけない。アカデミー賞にノミネートされたガブリエル・ヤーレの音楽も駄目。ヤーレは5月に公開される「トロイ」の音楽を担当していたが、その出来が余りにも酷いので製作途中に解雇され、現在「タイタニック」「ビューティフル・マインド」のジェームズ・ホーナーが後任として作曲しているという。ヤーレが「トロイ」を降板させられるのもむべなるかな。
というわけで余りにも詰まらない映画なので、後半はニコール・キッドマンとジュード・ロウという当代きっての美男美女の容姿を愉しむことのみに神経を集中した筆者なのでした。おしまい。
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