そよ日暮らし の そよふぉとノート
もくじだよきのうへあしたへ


2005年04月14日(木)  【題詠マラソン2005】参加作品 41〜52 & 過去ログ【35】より







043:馬

翔び出だす馬のたてたる土ぼこり光らせている夕のこもごも



045:パズル

つららからしずくのパズル 瞬間に おひさまの位置たしかめている



046:泥

泥道のぬかるみぬるくなつかしく 濾過されるまえのことばのぬくみ



050:変

変てこなかたちのこころ都合よく最適化するボタン押したり



051:泣きぼくろ

不器用は武器にはならず人知れず喉につまった泣きぼくろたち



052:螺旋

真夜中にひとさしゆびが銀色の螺旋なぞればもどれなくなる





以上、斉藤そよ作。

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以下は、題詠マラソン2005会場より、お借りしてきた短歌です。





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 過去ログ【35】より。
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[6964] 018:教室 丹羽まゆみ 2005年03月14日 (月) 23時10分

教室のへのへのもへじ起きなさい春だ子供は一人もいない


*

たくさんのすてきなお歌を詠まれている丹羽まゆみさん。

規則正しくせつなくやさしく美しいものばかりなのです。

どのお歌にも、
やわらかな言葉のなかに、かならずひとつさびしみが
かくされているような気がして、つーんとなります。

*

他のログからも、特に好きな三首をお借りしてきました。

[4319] 010:線路   丹羽まゆみ 2005年03月07日 (月) 23時42分
うららかな線路の土手に築かれしたんぽぽぽぽぽ黄色帝国

[6655] 013:焦   丹羽まゆみ 2005年03月13日 (日) 19時46分
焦がれては反古にせし恋そのままのおぼろさに咲く桜 さくらは

[10665] 063:鬼   丹羽まゆみ 2005年04月01日 (金) 21時10分
秋の野に半裸のままで老いてゆくかくれんぼうの鬼を探さな


・たんぽぽぽぽ黄色帝国
・おぼろさに咲く桜 さくらは
・かくれんぼうの鬼を探さな

一度読んだら忘れられない下の句でした。



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[6952] 010:線路   ひぐらしひなつ 2005年03月14日 (月) 22時57分

うらうらと春の線路は陽をあびて蜜蜂の死とあなたを運ぶ


蜜蜂の死とあなたを運ぶ

「あなた」と「死」が近いところにあるので、どきっとするのですが
けれども、「死」は蜜蜂だけのものであり、
「あなた」はたぶん陽炎のなかの人。

*

これまでにご投稿されている、ひなつさんのお歌を並べて読むと、
ほとんどのお歌に、
春・夏・秋・冬・三月・はつなつ・六月・冬空……というふうに
あまりにもいさぎよく季節が提示されてありました。

そして、
そんなはっきりとした季節に隠れて
そっと
こっそりと
でも なんどでも
こちらとそちらの距離感がうたわれているものばかり・・・と感じました。


*


他のログより ひなつさんの歌
(距離を感じるもののなかで一番好きな二首を。)


[7504] 012:メガホン ひぐらしひなつ 2005年03月17日 (木) 00時44分
両の手をメガホンにして呼べばもう矢車菊のかなたを走る


[9034] 019:アラビア ひぐらしひなつ 2005年03月23日 (水) 20時10分
アラビアと口にするたび白い花こぼれますます遠いアラビア



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[6859] 006:時   近藤かすみ 2005年03月14日 (月) 16時53分

あのときになんで買つたか鳩時計ぴつぷぴつぽとまた鳴いてゐる



「あのとき」に、買ってしまった鳩時計
移りゆく想いや景色におかまいなしに
今ものんきに鳴いていて
かわいくもあり、にくらしくもあり
ぴつぷぴつぽを聞くたびに、なんかぼんやりしてしまうんだ・・・・

というふうに読ませていただきました。

「あのとき」を想像すること、とても楽しいことでした。

とてもとても好きなものでした。


*


他のログより、特に好きなかすみさんの歌を。

[4157] 003:つぼみ   近藤かすみ 2005年03月07日 (月) 18時14分
淡彩の絵のなかの春フリージア百年先もつぼみのままで

[5973] 005:サラダ   近藤かすみ 2005年03月12日 (土) 00時39分
遥かなる近江より来し真水にていま甦る海藻サラダ


百年という年月の「ちょうどよさ」に感心したり、
≪甦る海藻サラダ≫というその事実にどきどきしたりしました。



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[6858] 086:占   春畑 茜 2005年03月14日 (月) 16時48分

占いにひきちぎられてゆく花の白さかなしさ夕路地に降る


「占いにひきちぎられてゆく花の」

なんどでも、声に出して読みたい上の句なのでした。

「うらないにひきちぎられてゆくはなの」  

あぁ。とても好きです。

美しい音のながれにうっとりしました。そしてもちろん映像も。

*

もうすでに完走されている春畑さん。
全ての歌の中から、大好きなものを。


[1151] 009:眠   春畑 茜 2005年03月01日 (火) 18時55分
眠りよりふたたび眠るまでの間を時にゆめみるごとくあゆめる

[1543] 019:アラビア   春畑 茜 2005年03月02日 (水) 14時30分
アラビアの千夜を語る書をひらくつゆじもの秋かぎろいの春

[2186] 034:背中   春畑 茜 2005年03月03日 (木) 14時50分
背中にはわが子ひとりをぶらさげて光が丘の春をあゆめる

[2178] 030:橋   春畑 茜 2005年03月03日 (木) 14時32分
そのうえをひとのかなしみ渡るとき橋はやさしくゆうぐれを揺る

[4096] 054:靴下   春畑 茜 2005年03月07日 (月) 16時10分
靴下を春のひかりに吊るしやるひゃくねんせんねんゆめみるがよき


なめらかで、うつくしいお歌ばかりをひかせていただきました。

ほんとうに、すてきだなぁと思います。情景も、それをとらえる視線も。


「橋はやさしくゆうぐれを揺る」
「ひゃくねんせんねんゆめみるがよき」 

嗚呼!



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[6822] 061:じゃがいも   黒田康之 2005年03月14日 (月) 13時14分

万年の孤独に耐えた顔をして喰らうは一箇のじゃがいもである

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[6821] 060:影   黒田康之 2005年03月14日 (月) 13時09分

群れあそぶおのこらの影乱雑でこの砂浜に秋の波来る

*

もうすでに完走されて、ご自身のブログでは二周目を走られている黒田さん。
いま、全てのお歌を拝見させていただきました。
リズムにも、歌意にも、確固たる世界が完成されていて、
安定した走りっぷりにほれぼれとしてしまうのでした。

このゆったりとした安定感にあこがれます。
とても勉強になりました。

二周目は少年編かな?と、お見受けしました。
こちらもとても楽しみなのです。



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[6803] 010:線路 片岡 幸乃 2005年03月14日 (月) 09時54分

線路には宵待草がよく似合ふ列車そのまま消え行きさうな


大好きでした。

ほんとうに。


「うんうん。そうそう。わかるわかる。」と思えるお歌に出会えることは
やはりなにより嬉しいことだなぁと感じた一首でありました。

とてもだいじなものでした。



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おしまいです。おやすみなさい。






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