東京の片隅から
目次|きのう|あした
川上弘美「水声」読了。 このところよくある現在と過去を行ったりきたりするパターンと思いきや、ときどき異物が投げ込まれる。それは日航機墜落事故だったり地下鉄サリン事件だったり東日本大震災だったり、直接体験したものとメディア越しに見たものといろいろあるけれど、静かな水面に石が投げ込まれたようで、ざわざわと波紋は広がっていく。やがて水面は静かになるのだが、投げ込まれた石は底に沈んでいき段々とその量を増していくので、一見静かに見えるその裏でじわじわと何かに浸食されているのである。
登場人物のシチュエーションは吉野朔実「ジュリエットの卵」を思わせる。あれは双子で「水声」はきょうだいだが、親子2代にわたる血縁との関係、秘密に気づいているものと気づいていないものとのずれ等、近い設定もあるので、合わせ鏡のようだ。
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