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”すべての母なるものへ”捧げられている。 ミステリとしての帰結はあるが、 アダルト・チルドレンへの、大人からのメッセージとも読める。
「いちばん初めにあった海」と「化石の樹」の二編から成る構成で、 読み進むうち、二つの話がくるっとつながってゆく。 それぞれの話のなかでも円環は完成し、二編が表裏一体となるかのようだ。
「いちばん−−」の主人公は、千波と麻子。 高校で出会った二人の少女は、どこか、カニグズバーグの『魔女ジェニファとわたし』を ほうふつとさせる。(麻子がジェニファなのだが) 女性どうしの友情をちゃんと描いた作品は男性どうしのそれよりも極度に少ない、というのが私の持論だが、本書はそれをちゃんと描いて見せてくれる。
物語は微妙な鎖でつながっているから、あまり詳細は書けない。 クスノキとキンモクセイ、それぞれの古木が 物語の芯に立っている。
どちらも個性的に薫る。花の季節はちがうけれど。 大きな木の下に立って、人は願いをこめる。 誰かを待つ想いを、未来への夢を。 その体内に、太古の海を宿しながら。
余談だけど、ギンモクセイとは別に、 白に近い花の咲くキンモクセイが出てくるが、その名前は 「ウスギモクセイ」というのらしい。ちょうど訪れた植物園で見かけた。
終わりのほうで、『おおきなきがほしい』(村上勉・佐藤さとる)の絵本も登場するし、 児童書好きの友人からすすめられたのも納得。(マーズ)
『いちばん初めにあった海』著:加納朋子 / 出版社:角川書店1996
2002年12月06日(金) 『はじめてのことば』
2001年12月06日(木) 『サンタ・クロースからの手紙』
2000年12月06日(水) 『ACTUS STYLEBOOK』
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管理者:お天気猫や
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