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夢の図書館新館

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-- 2001年12月06日(木) --

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『サンタ・クロースからの手紙』

書店の2階、児童書のコーナーでひっそりと 行われているクリスマスのブックフェア。 マイナーなクリスマス本は、取り寄せも面倒なのか、 ふだんの本棚にまだうずまっていて、 そういうのを掘り出す楽しみもある。

掘り出した一冊は、トールキンの 『サンタ・クロースからの手紙』。 『指輪物語』で有名な作家のトールキンが、 英国のオックスフォードで暮らす自分の子どもたちのために、 毎年送っていたサンタの手紙。 いわゆる「しかけ絵本」の形式で、封筒に入れてページのなかにはりつけ、 手紙は取り出せるようにデザインされている。 あの『ゆかいなゆうびんやさん』シリーズのようなスタイル。 (アルバーグの『ゆかいなゆうびんやさんのクリスマス』は 1992年発行なので、1995年発行のトールキンのほうが、 このスタイルでは後発らしい)

サンタクロースからの手紙は、 けっこうきちんとしていて、カラフルで楽しいイラストが 添えられている。 ぶるぶるふるえる筆跡で、寒い国から来たことと、 歳取った、知らない人の手紙だと強調しながら。

日付を見ると、めまいを覚える。 最初は、1920年。80年以上も前だ。 この絵本はダイジェスト版なのではしょっているものの、 20年も続いたというのがすごい。 しかけ絵本でなくてもいいので、 普通の絵本で全部見てみたい。

しかも、サンタさんは、けっこう大変。 仲間のように暮らしている北極熊が、ドジで、失敗ばかり。 性格もいいかげんで、すぐむくれるらしく、大変。 なんだか、読んでいる自分が北極熊になったみたいで、 落ち着かないほど。

そんなアクシデントを、つらつら書き送ってくるサンタさん。 あんまり、というか90%くらいは、 いかに自分達が苦労しているかを知らせている。 年末の愚痴大放出といってもいい。

手紙をもらった子どもたちは、 「サンタさんも大変なんだから、今年のプレゼントは これでもしょうがないんだよね」 って、思っただろうか。 (マーズ)


『サンタ・クロースからの手紙』 著者・イラスト:J・R・R・トールキン / 訳:瀬田貞二・田中明子 / 出版社:評論社

2000年12月06日(水) 『ACTUS STYLEBOOK』

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