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いよいよ源氏が動き始めます。
まずは「以仁王の乱」。担ぐは若かりし頃紫宸殿の鵺退治で名を揚げた、老将・源三位頼政、ドラマでは丹波哲朗が演じていました。
追っ手を逃れるために女装した高倉の宮(以仁王)が
大なる溝のありけるを、いとものがるう越えさせ給えば
通行人があっけにとられるシーンとか、
宇治の橋を突っ切って敵に向って来る勇者が、
あがる矢をばついくぐり、さがる矢をばをどりこえ、向ッてくるをば、長刀で切ッて落とす。かたきも味方も見物す。
あんまりすごいので戦の最中なのにみんなで「見物」しちゃう。
あるいは、一人の若武者のてきぱきとした指導で、馬を筏に組んで流れの早い川を押し渡る場面なども痛快。
乱を収め、平家は三歳で即位した安徳帝を連れて、慌てて福原に都移りをするのですが、人々の不平不安が数々の怪異の形をとって表現されます。
一方、伊豆に流されていた頼朝のもとには、文覚という怪しい坊さんが、「父君義朝公のしゃれこうべ」というのを持って来て挙兵を勧めます。
兵衛佐殿、一定とはおぼえねども、
と、頼朝が内心「そんなことあるかい」みたいなツッコミを入れるところが好き。
うちの父の決め台詞に、義朝公御年六歳のみぎりのしゃれこうべ、という落語ネタがあります。
それはさておき、ついに源氏の嫡流・頼朝と清盛の孫・維盛が富士川で対決。
涙をさそう場面は得意な絶世の美男・維盛、戦は滅茶苦茶弱い。水鳥の羽音を敵襲と勘違いして逃走。
とりあえず都は京都に戻したものの、周辺の寺院勢力が無気味です。大寺院は当時強力な軍事勢力、弁慶が何千人も居るようなお寺を想像してみて下さい。
その寺院勢力を抑えようとして、清盛の五男・重衡は勢い余って興福寺や東大寺を焼き払い、大仏まで焼いてしまいます。
まもなく清盛が重病になって、
京中・六波羅、「すわ、しつる事を」とぞささやきける。
「そーれ見た事か」と噂されてしまう。
とにかく熱が高いので、身体を冷やそうと水風呂に入れると
水おびただしくわきあがって、程なく湯にぞなりにける。
二位殿が、何か言い残す事は、と聞いたら
頼朝が首をはねて、わが墓のまへに懸くべし
そしてついに、
悶絶びゃく地して、遂にあっち死にぞしたまひける。
飛び抜けてスケールの大きかった清盛が物語から退場する所で、平家物語前半の終わり。
源氏はますます勢いづいてきました。
東国には草も木もみな源氏にぞなびきける。
信濃では木曽義仲が、機略を用いて追討軍を撃破。(ナルシア)
『平家物語(一)〜(四)』 校注:梶原正昭・山下宏明 / 岩波文庫
2001年11月22日(木) 『横溝正史集/面影双紙』
2000年11月22日(水) 『フラワー・フェスティバル』
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管理者:お天気猫や
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