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予定調和のHappy Endをどうしても読みたい気分の日がある。 何となくふさぎの虫に取り付かれていたり、 何だか言いようがなく悲しかったり、 そうじゃなくてもお天気が悪いだけで気持ちが曇ってしまう時とか。
そんな日は、本を選ぶのが難しい。 ミステリはちょっとHeavyだし、シリアスなものはとりあえず遠慮したいし。 小難しいのは、さらに表情が険しくなってしまう。 あーでもない、こーでもないと本屋で書棚の間をうろうろする。
「あ!“少女”マンガにしよう。」 さんざん、考えあぐねた末、 シュガーコーティングされた少女マンガにターゲットを替える。 最近はマンガもきれいな装丁の文庫版になっている。 ここでもさんざん迷った末、甘ったるく、華やかで、 ちょっとせつないけれど、幸福な結末を探す。
『フラワー・フェスティバル』
−魅惑のバレエ・メドレー−
バレリーナ 五所みどりはその夏、愛を知る
おお、バレエ? よっし。なかなか華やかでいいぞ。 愛を知る? 知ってもらおうじゃないの。 腰巻(本にかかっている帯)の惹句と、 表紙の絵から勝手にひとりで盛り上がって、レジに向かう。
バレエいうのはいくつになっても憧れの世界だなあとか、 ロンドン(マンガの舞台)はいいなあとか、 うっとりモードで一気に読み終わる。 さすがにいまやBoy meets girlの恋愛には、 ちょっと物足りないものも感じるが、 それでも萩尾望都を読み終わった後には、 独特の思いが残る。 悲しみは幸せな瞬間を際立たせるし、 嫉妬の醜さを知っているからこそ、 美しいものの価値だってわかるのだ。 人生には厄介事がたくさんあるけれど、 それすらそれぞれの幸せへの序曲なのだと、 自己肯定をすることができる。(シィアル)
『フラワ−・フェスティバル』 著者:萩尾望都 / 出版社:小学館文庫
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管理者:お天気猫や
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