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今年もあっというまに残り少なになりました。
某公共放送放映大河ドラマも、残すは語るも涙の悲運の英雄の最期。
今年、我が長年の望みがこのドラマのおかげで達成されました。
『平家物語』原文全文読破!
折角TVで義経の生涯をやるのですから、その豪華な映像を挿し絵代わりにして、ずっと以前から読みたかった『平家物語』を読み通そうと思ったのです。
と、言う訳で琵琶法師の台本に近い「語本」系の「覚一本」と呼ばれるテキストを岩波文庫全四巻で読んでみました。
どうなる事かと思いましたが、読み始めたらこれがとまらない。
あまりの面白さに、あっというまに読み終わりそうになって、これはいけない、ドラマの進行に合わせて読む事にしようと、気をつけて少しずつ少しずつ半年かけて読みました。
いやあ、本当に面白かったですよ。さすがに八百年近く数多くの人々に磨き抜かれ愛され続け、後の数々の文芸のネタ本にもなった作品だけの事はありますね。これで平家物語関連の謡曲や、少し前の時代の小説で普通に引用される故事も、何の場面だか理解する事ができるようになって、いっぺんに「日本人度」が上がった感じです。
国文科どころか文系ですらない素人に原文で読めるのか、と読み始める前は不安も感じないではありませんでしたが、全然問題ありませんでした。分からない単語は多いですが注釈もありますし、細部まで理解できなくても日本語ですから流れはわかります。
なんといっても、調子が良い。もともと耳で聞く文芸だけあって、声に出すくらいの感じで読むと、文章のリズムに乗ってとても良い気分で読めました。イリアスやニーベルンゲンも面白かったけど、原文の響きを味わえるのは自国語の作品だけですから。
読み通せるかどうかは知識というより、こういった古文のノリが好きか嫌いか、という文章との相性が大きいのではないでしょうか。『平家』は謀略ありラブストーリーあり戦闘シーンありで、文体も迫力ある漢文調あり雅びな和文あり臨場感ある擬音あり、とバラエティに富んでいます。
現代語訳も出ていますけど、原文の名調子はやっぱり読んでいてわくわくするほどカッコイイ。七五調の決めゼリフなんかが好きな方には原文が絶対おすすめです。
文章に慣れたら、強烈な個性のキャラクター達にどっぷりはまって、華麗極まりない平家の公達と共に滅びの道をひた走ろう。(ナルシア)
『平家物語(一)〜(四)』 校注:梶原正昭・山下宏明 / 岩波文庫
2003年11月18日(火) ☆教科書を、読む?(その1)
2002年11月18日(月) 『ゆき』
2000年11月18日(土) 『心霊写真』
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管理者:お天気猫や
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