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大学生の頃、友人が、
「教科書で取り上げられていた作品は全部、本で読んだ」
と言った時、正直、とても驚いた。
学生の頃から、本を読むことは好きだったけれど、
どうしても、教科書の作品群をわざわざ本で読もうとは思えなかった。
そんなことを言ったら、友人は、
読書家じゃなかったから、教科書を読もうと思ったのだ、と。
好みの本も作家も分からなかったから、とりあえず教科書作品を読んだと、
付け加えた。
なるほど。
教科書と、そういうつきあい方もあるのだなと、
妙に感心した。
そうか、教科書は、読書指南のガイドブックだったのか。
私にとって、国語の教科書は、割とつまらないものだった。 作品がつまらなくも思えたし、 みんなが同じ思いを共有しなければならないような、 作品それぞれへの意味づけが、よけいなことのようにも思えた。
それに、小学生の頃のどうにも苦しかった授業の思い出とかも、 若干影を落としている。 国語の時間はつまらないと。 小学校3・4年生のころ勉強した「ごんぎつね」は、 ラストの非情とも思える悲劇に授業中にもかかわらず、 涙がこぼれそうになった。 今でも心に深く残る物語であるが、 あのころは、その感動は長くは続かなかった。
当時の先生は、時間ができると書写と称して、 教科書の書き写しを課した。 どんなに大好きだった「ごんぎつね」でも、 その日、その時間のノルマを果たすために、 ただただ文字を書き連ねることだけを繰り返していれば、 感動もへったくれもない。 おまけとして、スピードまで要求されるこの書写で、 クラスの大半の子が字が下手になっていったのだった。(つづく) (シィアル)
『ごんぎつね 最後の胡弓ひき ほか十四編』 著者:新美南吉 / 出版社:講談社文庫1972 『ごんぎつね―新美南吉童話集』/ 出版社:偕成社文庫1982
2002年11月18日(月) 『ゆき』
2000年11月18日(土) 『心霊写真』
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管理者:お天気猫や
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