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・ポリティカルスリラー
・大統領選
・国家情報機関の暗躍
・謎の隕石?
・ETの発見?
・知的なヒロイン
・頼りがいのあるヒーロー
・さまざまな対立の構図
…うーん。どこをとっても私の好きな要素ばかりで、「満艦飾」なサスペンスなのに。 面白かったかどうかと聞かれれば、確かに面白かった、と答えるけれど。 この何となく不完全燃焼のような、あるいは気の抜けたサイダーのような読後感は多分、 ダン・ブラウンに求めていたものが十分にえられなかったからだろう。
何を求めていたのか?
それは、読後に今まで知らなかった世界が開かれ、真実なのかどうなのかそれは分からないにしても、新しい視座がえられるところに、知的好奇心がくすぐられていたのだと思う。
『ダ・ヴィンチコード』を読み終わった後、ダ・ヴィンチの作品を見る時、微妙に視点をずらすようになった。少なくとも、あの有名な『最後の晩餐』に対しては、好奇心は十分に満たされ、新しい解釈に圧倒された。『天使と悪魔』でも、バチカンについてあらたな興味が掻き起こされ、「コンクラーベ」なるもののしくみを、現実の世界の新法王選出に先んじて、知ることができた。
ダン・ブラウンを読み終わった後に残る、今まであたりまえのこととして漫然と見ていた世界に潜む、さまざまな意味や陰謀。あらたな視座・視点。そういうものが、今回は本を読み終わっても、えられなかった。
そういうプラスアルファを求めすぎたので、『デセプション・ポイント』に辛くなるのかもしれない。大統領選をテーマにしたものは小説に限らず、ドラマでも映画でも、だいたいは一定の水準を超えて面白い。もしかしたら『デセプション・ポイント』では、大統領選はこのサスペンスの背景に過ぎないから、多少の不満を感じるのかもしれない。次期大統領の座を見据えた熾烈な駆け引き、北極から海洋での命がけのアドベンチャー、ほのかに漂うロマンス。もちろん、「知的な」科学的解説もいっぱい盛り込まれている。うーん。あまりに物語の要素が多すぎて、小説の面白さが分散してしまったのかもしれない。(あるいは、私が科学に興味を持てなかったから評価が辛いのか。)
次回作はラングドン・シリーズとのこと。どんな風に驚かせてくれるのか、とても期待している。 あ、『デセプション・ポイント』のレーティングは、5つ星で3.5くらいでしょうか。(シィアル)
※デセプション・ポイント(deception point)とは、「欺瞞の極点」と訳されていました。(あとがきより)
『デセプション・ポイント』上下 著:ダン・ブラウン / 訳:越前敏弥 / 角川書店2005
2004年07月01日(木) 『くまのローラ』
2002年07月01日(月) 「テディベアの夜に」
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管理者:お天気猫や
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