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ビーチコーミングの楽しさと、急ぎ足で姿を変える環境を思う。 私が手に入れたのは1999年の初版本なので、 6年たった今、環境の実態はさらに変化したことだろう。 副題は「黒潮のメッセージを読む」。 日本の太平洋側は、関東あたりまで黒潮が北上している。 黒潮のような暖流が、南からの動植物、どこかから流れ出した ゴミを運んでくる。 それらのゴミが、ゴミでなくなるとき、 ビーチコーミングの楽しみが開けてゆく。
先日出かけたビーチコーミングでは、 さすがに椰子の実は拾えなかった。 実の物は、拾えるとしても、秋がシーズンらしい。 ただ、自分のフィルターで拾った物は、妙にひねくれていて 個人の嗜好というのは、セレクトが必要なものごとには いやおうなく反映されるものだと知る。 これも拾えなかったが、モダマと呼ばれている、 黒くて平たい円形のおはじきみたいな物は、 植物の種子(実)なのだった。 昔の人は海草の一種と考えたため、そう呼ばれるらしい。
地方のビーチコーマーは、日々の活動を単独で行っている ようだ。もくもくと、数時間かけて浜を漁る。 その反面、全国各地に漂流物関連の市民団体があって、 大会を開催したり、情報交換は活発。 機関誌も遊びごころのあるユーモラスなスタイルが多い。
本書は、漂流物を収集したり研究したりする手法などの紹介とともに、 微少なレジンペレットの問題や、流出した原油の汚染、 医療廃棄物といったマイナス面の考察にも全体の1/3を 割いている。 終章は、「破壊される海岸とその整備」。 全国的に浜辺が後退している事実と、無知から来る海岸の破壊に 重いものが残る。 崩してしまった山が二度と元の形に戻らないように、 消えた砂浜も、よほどのことがなければ復活できない。
とはいえ、先日のコーミングでは地元の人たちが せっせと岩場のほうで作業していたので聞いてみると、 潮の引いた隙にカキを採っているとのことだった。 本来のビーチコーミングとは呼ばない作業だけれど、 そういう環境もありなのだと思うと、なぐさめになる。 (マーズ)
『漂着物学入門』著者:中西弘樹 / 出版社:平凡社新書1999
2003年04月04日(金) 「アースシーの風」(その2)
2002年04月04日(木) 『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』
2001年04月04日(水) 『自分の人生がある場所へ』
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管理者:お天気猫や
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