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あの本たちがとつぜん手元を離れてから、こんなに 時間がたってしまったことに、年々、焦燥感が高まる。 まったく、なんという時間だろう。 インターネットの時代、たいていの古書は手に入るのに、 どうして私にはあの全集を探せないのか。
子どものころ、くりかえしくりかえし、 あきることなく読んだ童話全集。 私の親は、単独で本を選ぶ趣味などなく、 全集なら安心、と考えるタイプだった。 だから、家庭では、当時から有名だった作家の絵本や 児童書は、読む機会がなかったかわりに、全集で広く ある意味浅く、世界じゅうのお話に親しんだ子ども時代だった。
シリーズの絵の美しさ、多様さ(アニメのセル画風のもあった)には、 今の作品とはちがった「真面目さ」があり、 幼いころ、あの全集に教えてもらった世界は、 私のなかの希望や感受性の根に、深く結びついていると思っている。
この数年、思いだしては検索したりしていたが、 何しろ、出版元もうろおぼえ、全集のタイトルにいたっては まったくおぼえていない。 だいたい、どれも似たようなタイトルである。 街の古書店でも見かけない。 本好きの友人に聞いても、わからない。 当時の子どもたちは、そういう全集が盛んに出ていたせいか、 けっこう同じものを読んでいないようだ。
そして、この10月。 個人文庫を主宰されている方から、これじゃない?と 手渡された全集からの一冊があった。 古書店で見つけて持っていたそうだ。 この本は講談社の『世界のメルヘン』シリーズで、 いただいたのは『5イギリス童話(2)ねがいのかなう魔法のほね』 という本だった。 青い箱に入っている。厚さは探している本と同じ、2センチぐらいだ。 残念ながら、これは私の全集ではない。 しかし、これはなかなかすごい本だった。 私の探している本よりも年長者向けだが、 これを読んでいたら、また私の人生は違ったものになっただろう(笑)。
表題作の「魔法のほね」はディケンズ作だし、 他の収録作は、ネズビットの「白いねこのひみつ」、 ローズ・フィルマンの「ピーターと魔法のほうき」、 キプリング「ひょうにはなぜまだらもようができたのか」、 リチャード・ヒューズ「岩の上の宮殿」、 キャサリン・シンクレア「すばらしいお話」 という、豪華なラインナップ。 編集は神宮輝夫、矢川澄子他。 全24巻で、この本は昭和56年の初版である。
そして、この一冊をいただいたことで、 私はもう一度、探索にチャレンジする強い気持ちを持てた。 少なくても、私の探している本は講談社ではないことが わかった。最初に出たのも、もっとずっと前のことだ。 うろおぼえのマークは、やはり小学館(変遷はあるが)らしい。 そこまでわかれば、何とかなるのでは?
本をいただいた日、2時間ほどかけて、 とにかく思いつく限りの検索をした。 (その2へつづく) (マーズ)
『世界のメルヘン 5イギリス童話(2)ねがいのかなう魔法のほね』/ 出版社:講談社1981
2003年10月28日(火) ハロウィーン休みのお知らせ。
2000年10月28日(土) 『屍の声』
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管理者:お天気猫や
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