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信じていた家族の絆が揺らぐ時、裂けた心の淵から 湧き上がるように魔が現れる怪奇譚集。 伝奇的な怪奇長編でブレイクし、 いまや大作家となられた坂東眞砂子さんですが、 やっぱりその本分は土俗的怪奇譚にあり、と 勝手に決めています。
それというのも彼女が作品中に取り込むのを 得意とする因習・信仰は地方に旧い家のある私にとっても 馴染みの深い世界だからです。
和製ホラーファンのあなた、 坂東世界のおどろどろしい習俗を 海外ホラーの輸入物の恐怖のように 自分には無関係な絵空事、 と思って愉しんでいませんか?
あれはね。 あれらは本当に。 「ただの習慣」「迷信、迷信」などと言いながら それでも捨て去られる事なく伝えられる習俗は、 つまりはどこかで「信じている」のです。
だから例えば「正月女」はその言い伝えが真実かどうかという 以前にまずその言い伝えを信じている人々が恐ろしいのであり、 更に、さらに── ああ、これ以上は恐ろしくて申せません。(N)
『屍の声』 著者:坂東眞砂子 / 出版社:集英社文庫
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管理者:お天気猫や
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