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夢の図書館新館

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-- 2004年04月08日(木) --

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『炎のコスタリカ』

1986年、ハーレクインから刊行され、 日本では1989年に出た作品の文庫化。

誘拐された富豪の娘ジェーンと、元諜報員のグラントは、 悪名高きコスタリカの長官トゥレゴの追っ手を避け、 ジャングルを逃避行する。 ジェーンがトゥレゴに誘拐されていたのは、 国家機密をおさめたマイクロフィルムの 行方を知る唯一の手がかりだったから。

リンダの作品でジャングルの強行軍というと、 古代文明のロマンを描いた『石の都に眠れ』を思い出す。 どちらのヒロインも相当タフだが、 今回のヒロイン、ジェーンの魅力は、 『虎』の異名を取る鉄の男サリバン・グラントを 『守ってあげたい』と思う女性的な本能と、 トラウマに苦しむ脆さ、敵を欺く演技力のアンバランスさ。

グラントはベトナム以来、過去と決別し、 諜報活動に人生を費やしてきた。 38歳で、すでに引退しているのだが、その後 ほとんど引きこもり状態で農場に住んでいる。 しかし、このジャングルでの人質救出作戦には、 「虎」こそ最も適任だと、だれもが判断した。 ジェーンの父は、グラントに娘の命を託す。

次作の『ダイヤモンドの海』では、 本書にグラントの親友として登場する 諜報部員ケル・サビンが主役とのことなので、 楽しみにしている(これから読む!)。

今回、非常にリンダらしいと思った場面。 危険きわまりない逃避行を終え、 文明社会に戻ったふたりは、諜報部へ立ち寄る。 そこでサビンを交えて三人で、 部屋の外にいる者が耳を疑うような、 大笑いをするのだ。 なんといっても、男二人は「絶対笑わない」ので 有名なコールド・ブラッドなのだから。 命がけの冒険を終え、この発作的な笑いの伝染を 共有した男女三人は、 一生の絆を、その数分で結んだにちがいない。 (マーズ)


『炎のコスタリカ』 著者:リンダ・ハワード / 訳:松田信子 / 出版社:MIRA文庫2002

2003年04月08日(火) 「キャラクター小説の作り方」
2002年04月08日(月) 『妖精国の騎士』

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