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この人、あの片岡義男よね、と言い合いながら 友人に借りてきた本。
ヴェランダが春の陽ざしを受けている。 これがデフレ・スパイラルをも同時に照らしているとは とても思えない、穏やかに充実した感触のある、 晴天の直射光だ。 そのなかにテーブルを置き、黒いバックグラウンドを作り、 そこにクレール・フォンテーヌのノートブックを 何冊か配置する。(引用)
著者自ら撮影した文房具の写真とエッセイが、見開きで 交互にページをつくってゆく。 文房具好きというよりも、写真撮影の薀蓄や 写真対象としての文房具へのこだわりを「執拗に」書いているので、 カメラの知識があるほうが楽しめるかと思う。
その執拗さは、やはり作家ならではのもので、 何かを一心不乱に、天啓のごとく追究する姿勢でもって これが単なるオシャレな文房具ガイドとは 一線を画していることを、私たちはすぐに悟る。
実際に使ったことのある文房具もあれば、 存在すら知らなかったものもある。 私にとってもなつかしい銀座の文房具屋を思い出させてくれる かずかずの知的作業の僕(しもべ)たち。 僕(しもべ)たちのポートレイト。 カメラを通して心象を映し込んだ、 本物の質感とは違うはずの画像。
黄色い表紙のメモ帳を積み上げた 「ロディアの塔」をながめながら、あなたは ただものではない、と思えるだろうか。 (マーズ)
『文房具を買いに』 著者・写真:片岡義男 / 出版社:東京書籍2003
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管理者:お天気猫や
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