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『自負と偏見』(あるいは『高慢と偏見』)というタイトルから、 恋愛小説を想像するのは難しいので、 手に取るまでに長いことかかりました。 やっと読んでみようかと、本を開いたきっかけは、 映画『ユー・ガット・メール』と『ブリジット・ジョーンズの日記』 どちらも『自負と偏見』が重要なモチーフとなっています。
けれど、最初に手に取った『高慢と偏見』(岩波文庫)は、 文章が単調な気がして、数ページで断念してしまいました。 その後、コリン・ファース・ファンの知人が 『高慢と偏見』のDVDを貸してくれて、 この物語の魅力がやっと分かったのでした。 やはり、コリン・ファースのおかげでしょうか(^^)。 もちろん、気むずかし屋の青年紳士ダーシーも 才気煥発なエリザベスも素敵でしたが、 イギリスの田園の美しさにも惹かれました。 訳が読みやすいという評判のようなので、 新潮文庫の『自負と偏見』を手に入れ、 やっと読み終えることが出来ました。
読み終わってみれば、 本当に機知に富んで面白い娯楽小説でした。 物語は他愛なくて、18世紀頃のイギリスを舞台にした クラシックな恋愛小説です。 イギリスの田舎町のベネット家の娘エリザベス(リジー)と 大金持ちで気難し屋のダーシーが誤解と思い込みを互いに乗り越え、 結婚に至るまでの物語。
しかし、オースティンの鋭くスパイシーなユーモアが効いていて、 人物描写が的確で、主人公は魅力的だし、敵役も生き生きしています。 例えば、リジーの母親の俗物ぶりや、意地悪な恋敵ビングリー姉妹、 慇懃無礼でおしゃべりの自慢屋ミスター・コリンズ、 それぞれの欠点が容赦なく炸裂し、同時に強烈な個性を放っています。 リジーとミスター・ダーシーのロマンスの展開は言うまでもなく 素敵なのですが、私にとっては、リジーの父親の辛口のユーモアや 愛情ではなく安定を求めて、ミスター・コリンズと結婚したシャーロット の結婚観など、いろいろと心に残る小説でした。 (シィアル)
※読み比べたわけではありませんが、『自負と偏見(高慢と偏見)』は、その他、岩波文庫、河出文庫、ちくま文庫から訳出されています。好みの問題だと思いますが、一番読みやすいと言うことで新潮版を再度買ったのですが訳はやはり古いです。ちくま文庫が一番新しいようです。
『自負と偏見』 著者:ジェーン・オースティン / 訳:中野好夫 / 出版社:新潮文庫
2003年01月08日(水) 『天使のせせらぎ』
2001年01月08日(月) 『FAST FLOWER ARRANGING』
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管理者:お天気猫や
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