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☆希望の地をめざす、旅の仲間たちの絵本。
と書くと、指輪物語のようだけれど、この絵本には、
これといった敵はいない。
ただ、捨てられたりこわれたりしたおもちゃたちが、
仲間をふやしながら、そのひとりが夢に見た南の村へ、
長い旅をするお話。
旅の途中、人間との関わりは最小限で、
横長の大ぶりのページを次々と開いては、新しく加わった
おもちゃたちの姿や、もとからいるおもちゃたちの様子を
見守る楽しさ。
どこか、安野光雅さんのヨーロッパ紀行を眺めるのに似た、
人間の感性と指先から生まれた世界へのいとおしさ。
主人公のおもちゃは、クマのぬいぐるみ。
最初のページで、ゴミ捨て場へまっさかさまに投げ捨てられる
テオドールの姿を見たときは、どうなってしまうのかと
思ってしまったが、おもちゃという存在は、ほんとうに、
これでもかという場合でも、へこたれない。
楽な旅ではないのだけど、おもちゃの一行は、
これでもかこれでもかと、先へ進み続ける。
夢に見た村なんか、本当にあるんだろうか?
私達は、そんなことを心配するのだが、おもちゃは
こうと思ったら前進あるのみ。
40年も前に書かれた外国の話なので、次々に登場する
おもちゃたちのなかには、日本の子どもたちにはピンとこない
おもちゃもいるかもしれない。
でも、こんなおもちゃもあるんだね、と
親子で楽しませてもらえるおどろきと、地に足のついた豊かさが
この絵本には流れていて、おもちゃのデザインも手がけて
いたという著者の、ふところの広さを思わされる。
子どもたちがよく言う、
「仲間に入れてよ!」
という言葉の大切さとともに。
(マーズ)
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