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この本の中の「信仰」や「信者」という言葉は、宗教上のそれではない。 ほどんどの人にとっては、 何の興味も関心もないようなものでも、 一部の人たちにとっては、猛烈に心を惹きつけ、 惑わせる蠱惑的なもの(あるいは人)や場所、状況がある。 そういうもの・人・場所・状況への思いが「信仰」であり、 重度のフリークが「信者」である。 (白状すると、実は、私は、この本をナンシー関さんによる 「新興宗教」のおもしろレポートのように誤解していた。 ホンモノの宗教とは、全然関係ありません。)
「信仰の現場」はあらゆるところにある。 冒頭の「永ちゃんライブ」から始まって、 想像通りの濃い世界(「劇団ひまわりの子役たち」)から、 こんなところにもと驚くマニアックな世界 (「『男はつらいよ』幻の庶民」)まで。 ありとあらゆるものが、場所が、人々を盲目的な信仰に導き、 回りの第三者から見れば、ちょっと滑稽で愛すべき「スキ」を さらけ出させている。 当人にとって、至極真面目なことが、冷静な第三者から見ればつい、 笑いを誘っているのである(ちょっと意地悪だけど)。 とは言っても、それは、きっぱりと、「自分とは縁のない世界」と、 言い切ることは難しい。 日常の中のワンダーランドという落とし穴は、至る所に存在していて、 油断していると、うっかりはまりこんでしまうかもしれない。 笑っている場合ではないかも。
で。
私も、この定義からいけば、なにがしかの「信者」である危険性は高いと、
自分の行動様式、生活全般をチェックしてみた。
…うーん。わからない。
何一つ、タガがはずれているところなどない気がする。
まあ、それもそのはずで、何かを盲目的に信じている(あるいは、愛している)
当人には、客観的に自分が見えていないのだから、
なかなか、「今、自分はレッドゾーンに踏み込んでいる」という自覚は
持ち得ないだろう。
だから、依然、私にも、本人にとってはすごく真面目でまともあっても、
他者(特にナンシーさんのような鋭い眼光の、)から見れば、
タガが見事にはずれた、愛すべきスキがあるのかもしれない。
あるいは、ほんの数センチずれただけで、
はまりこみそうな落とし穴が、ほら、そこに。
「正月、初売り、福袋」
「「笑っていいとも!」お昼休みの魔術」
「ドッグショー。トップブリーダーの謎」
「高級花「らん」の夢と現」 e.t.c.
残念なのは、94年に刊行された本なので、 取り上げられている世界が、うっすらと、セピアに色褪せはじめている。 いや、そう思っているのは私だけで、「信者」の方々にとっては、 10年の歳月も何のそので、いつまでも輝き続けているのだろう。 (シィアル)
『信仰の現場〜すっとこどっこいにヨロシク〜』 著者:ナンシー関 / 出版社:角川文庫
2002年01月17日(木) ☆本をどこで買いますか?(その4)
2001年01月17日(水) 『決断するイギリス─ニューリーダーの誕生─』
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管理者:お天気猫や
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