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今月のメルマガで取り上げた「贋作美術品」本、 気に入っていただけたでしょうか? それでは贋作を「見破る」本を楽しんだ後は 実地に贋作を作ってみましょう! それも日本の「国宝級」古美術作品を!
ターゲットは悪辣極まる骨董商。 対するヒロインのプロデュースする「国宝級作品」は 材料も職人も全てが本物、違いは作られた時代のみ。 世界一級の鑑定眼を持つ元大英博物館ケミカルラボの 天才専門技官の眼を、名人贋作師の「作品」は超える事ができるのか。
北森鴻氏は各作品毎にテーマの違う専門知識を駆使し、 豪奢で妖異なミステリを生み出す作家です。 『狐罠』も、軽快な「贋作美術品詐欺ゲーム」ではなく、 登場人物達が骨身を削り悪知恵を闘わす鬼気迫る世界。 ただ、毎回惜しく思うのですが、北森氏は必要以上に 筋を暗鬱に込み入らせ過ぎるきらいがあって、そのへんが 才能がありながらもうひとつメジャーにならない理由でしょうか。
主人公達の企みと同時進行して絡んでくる「殺人事件」が邪魔になって、 折角の入魂の「作品」の意義がクライマックスで薄れてしまったのがとても残念。
殺人課の刑事さんコンビのキャラはとても良かったのですが。 私が惜しがる謂れはないのですが、贋作を作る過程を読んでいるうちに 徐々に完成に近付く「作品」に愛着が湧いてくるのですよ。 ああ、一度「贋作」を作って高慢な「目利き」を騙してみたい。 (ナルシア)
『狐罠』 著者:北森鴻 / 出版社:講談社文庫
2001年11月26日(月) 『黒猫』
2000年11月26日(日) 『Spells for Sweet Revenge』
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管理者:お天気猫や
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