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タイトルから想像するファンタジックなイメージとは ずいぶんちがう、少女の成長物語。
中世イギリスの田舎を舞台に、 名もない孤児の少女が、産婆見習いとなり、 みずからにアリスという名前をつけ、 目的をもって生きてゆこうとする姿を描く。
貧困と無慈悲にあえぎながらも、 ささやかな喜びに希望を見出し、 幾多の出会い、別れを経て、 いつのまにか殻を破り変化してゆくアリス。
本書では、重みをもった歴史的背景として、 産婆が取り仕切った当時のお産のようす、 ハーブなどの使い方も細やかに記されている。 見習いアリスが、狭量な産婆ジェーンのもと、 職人が技を盗むように、見よう見まねで 仕事をおぼえていく過程に、それらは登場する。
少女の成長物語なのだから、けっこう手に汗にぎる 面白さというのをここでも想像してしまうけれど、 アリスの物語は、決して楽ではないだけに、 読んでいて苦しい面も多々ある。
それでも、これがアリスの時代であり、 アリスの生まれた人生なのだ。 私たちが私たちの時代に生まれたように。
「自分の居場所がある生活」、 だれもがそれを望み、居場所があれば どうにかこうにか、生きてゆける。 (マーズ)
『アリスの見習い物語』 著者:カレン・クシュマン / 訳:柳井薫 / 絵:中村悦子 / 出版社:あすなろ書房
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管理者:お天気猫や
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