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ゴッデンの珠玉作。 舞台はちょっと昔のロンドン! それだけでもわくわくする。 読み進むにつれて、主人公の少年と一緒に、 だれもが「創造」の火花と妙味を味わってゆくだろう。
グレゴリー少年は、妹と一緒に、ある決意をする。 お金では買えないものを、大事な人にあげるのだ。 戦争で故国を追われたウクライナ人のお手伝い、 'かけがえのない'マルタの安らぎのために。
グレゴリーは成績は良いのだが感受性が強すぎ、他人が苦手。 自分を持て余してすぐ内にひきこもってしまう。 そんな少年が、決意を実行に移すことで、 気付かぬうちに、外へと、その豊かさを輝かせる。 ほんのひとつの決心が、人を変えるのだ。
私は、子ども時代に、誰かのために自分の大事なものをあげたり、 引き換えにする決意をしたことがあっただろうか。 そういう必要がたまたまなかったのかもしれないが、 しかし、グレゴリーほど大きな犠牲を払った憶えはない。 それは残念なことである。
ものをつくりだす喜びは──そう、 そちらの方は多少なりとも経験していた。 絵を描く時も、お話を書く時も、音楽でもそれは同じだ。 そんな創造のパズルを、ゴッデンはみごとな モチーフに置き換えて読む者を引き込む。
大好きな人に、大好きと言えない。 欲しいものを、欲しいと言えない。 回りのことはよく見えるけれど、自分のことは あまりよく知らない。 やさしさが思いやりだと知っている。 妥協を知らず、勇気のある… 言い出したらテコでもきかない!
そういう根っこを持っている人のために、 そういう人によって書かれた物語である。 (マーズ)
『台所のマリアさま』 著者:ルーマー・ゴッデン / 絵:C・バーカー / 訳:猪熊葉子 / 出版社:評論社
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管理者:お天気猫や
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