HOME*お天気猫や > 夢の図書館本館 > 夢の図書館新館
20世紀から21世紀へ。 『本と美術─20世紀の挿絵本からアーティスツ・ブックまで』という 展覧会を観てきた。 会場の美術館には、時を経て収束されてゆく 「メッセージ」の亡霊が、ゆらゆらと立ち現れていた。 舞台は紙であり、ときに金属であり、大地であり。
革命活動のスローガンとなった詩の本。 左右のページで、ちがう言葉(人格)が誘う本。 現代美術と遺跡が融合したような聖書のオブジェ。 マエストロたちの版画や筆跡を生々しく伝える豪華本。 空間という丸い芯の通った本。 小さな版画と言葉を突き詰めた、豆本。 詩人の言葉を閉じ込めて澄ましている、からくりめいた機構。 無数のゴミと化した印刷物からのぞく国民性。
いかにも強さを感じさせるものから、繊細なゆらぎに満ちたものまで、 たくさんの「本」という名のものたち。 生まれた瞬間から、世界中で、時代に沿ってその意義を変えつつ、 現在は「かくある」本たちが、こうしてつどっているのだった。 読んでくれ、触れてくれと乞い願う本の「気」が、 ガラスケースを通じて五感を刺激する。
展覧会の最後に、ソファに置いてあった 大竹伸郎の絵本、『ジャリおじさん』福音館書店)を読んだ。 なぜだかハッピーエンドだった。 (マーズ)
『本と美術』(展覧会カタログ) / 発行元:徳島県立近代美術館
2001年08月26日(日) ★夢の図書館ナツヤスミのお知らせ。
>> 前の本 | 蔵書一覧 (TOP Page) | 次の本 <<
管理者:お天気猫や
夢図書[ブックトーク] メルマガ[Tea Rose Cafe] 季節[ハロウィーン] [クリスマス]