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1970年、クリスマスまでの壮絶な一週間。
霊的現象の謎と死後の生存を解明するため、 死にかけた富豪の依頼が届く。 通称ヘル・ハウスに送り込まれた4人のパーティー。 彼らは超心理学者とその妻、 精神的霊媒、物理的霊媒という 「信じない者」と「信じる者」、 あるいは「感じない者」と「感じる者」だった。
そして。 彼らにとって、今回の訪問は、まさに誰にとっても 人生を賭けた戦いでもあった。 科学の威信と人生を賭けた戦いであり、 数十年前の負け越しのリベンジでもあり。
今は住む人もない悪夢の舞台は、 不気味に静まり返っている。 霧濃い谷間に建つ悪徳の館、ベラスコ邸。 かつてこの家の主人であった邪悪な巨人ベラスコが 本当に、死後数十年たった今でも さまざまな怪奇現象を引き起こしているのだろうか?
もちろん、彼らが乗り込むなり、 幽霊屋敷にお決まりの異変は始まる。 窓をつぶした大きな邸宅で、電源が原因不明のダウン。 沼の異臭と寒気は邸内にも漂いこみ…
ロウソクの灯りを頼りに恐慌をきたしながら 昼も夜もなく、ゴーストハウスをうろうろする …なんてちょっと耐えられないので、 私は──結末を先に読んでしまった。 そして、恐怖の正体を知ったうえで、 後半を安心して読んだのだった。
そんなやり方はフェアではないけれど、 プロットを楽しむには却って好都合かもしれない。 いわゆる探偵小説の犯人当てとはまた趣がちがうし、 怖いのはいやだけど読んでみたい、 という向きにはおすすめ。
姿の見えない、悪意だけが突出した敵、 顔のない敵よりも、 顔の見える敵のほうが、たとえどんなに強くても 数倍マシであるという事実をかみしめながら。 そこには必ず弱点があると、地獄の家は教えてくれる。(マーズ)
『地獄の家』 著者:リチャード・マシスン 訳:矢野徹 / 出版社:ハヤカワ文庫
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管理者:お天気猫や
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