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いま思っても、20年くらい前までの料理本は、 写真が、ぜんぜんおいしそうじゃなかった。 つくろうという気力をそがれる以前に 食欲を減退させるような本が多かった。 そういう意味では、最近の料理本業界の進歩は すばらしい。 料理写真の伝える味とにおいは、 大きな購買動機になる。 そして、簡単にできそうなレシピ満載とくれば、 鬼に金棒なのである。
料理の得意な人や日常料理をせざるを得ない人には 言い訳にしか聞こえないだろうが、 じぶんは決して料理が不得手なのではなくて、 親から受け継いだ技術とか、毎日料理する義務がない =経験値が少ないだけだと思っている人は、 男女問わず、けっこういると思う。 食べることに執着が少ないから、積極的には なれなくても、味覚はうるさい困った人。 ここにも一人いる。
だから、「もう少し上手になりたい」という ささやかな野心は、決して、本格的に料理を学ぼうという 熱意にはならない。 でも、それでも、 簡単に、手際よく、センスよく、おいしいものを 魔法のようにつくってみたいという願いは ずうっと持っているのである。
この本のレシピは、ほんとうに100文字。 どれもが、つくってみたいな、つくれるかも、と じぶんの台所、じぶんの包丁さえ持たない私の野心をくすぐる。 一部、あえてはみ出した「100文字ちょっとレシピ」もあって、 それをまた100文字にちぢめて遊んでみたり。
さて、ほんとうに100文字でおいしいものが 未熟者にも理解できただろうか?
最初につくったのは、鮭の南蛮漬け。 もちろん、今までのレパートリー外。
不思議なことに、思った以上においしかった。 仕上がりもキレイだったのは感動。
川津さんのいうように、料理は愛情だけで なりたつものじゃない。 基本の技術があってこそ。 料理するには、やっぱり自分の包丁が欲しい。 次の100文字レシピまでに、小ぶりの包丁を探そう。(マーズ)
『100文字レシピ』 著者:川津幸子 / 出版社:オレンジページ
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管理者:お天気猫や
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