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『ゆかいなゆうびんやさん』シリーズの アルバーグ夫妻の本なので、 ほのぼのとしたかわいい、緻密なお話だろうと 読み始めた。そしたら。
泣いた泣いた泣いた。 後半のある場面で、スイッチが入って とまらなくなってしまった。
訳者の井辻さんは書いている。 「人類の本棚には、ぬいぐるみ文学という 奇妙なジャンルが存在します」と。 私はこれの前提として、おもちゃ文学というものが あるのだと、最近立て続けに読んだ本を振り返って思う。 そして、おもちゃが主人公の本では、 人間以上に残酷な運命に翻弄させることができる。 おもちゃは痛みを感じないし、 ばらばらにされるまで死なない(気絶することはあるらしい)。 おもちゃが主人公の本は、深くて意味深長で、 泣かされる本になりやすいのだ。 (脇役でロシアの入れ子人形、マトリョーシカが よく出てくるのはなぜか?お約束なのか?)
ぬいぐるみ工場でつくられた主人公のクマくんは、 自分のことしか考えない、うぬぼれやだった。 その理由は。 顔を縫った「仕上げ屋さん」の手かげんが狂ったから。 縫い目がふたつ、狂っていただけで。 それだけで、クマくんの中身も決まってしまった。 そこから、クマくんの「そ、そこまで…」な 人生が始まるのだった。
私をして、ぼろぼろ泣かせた クマくんのぼろぼろ人生が。 でもちゃんとハッピーエンドが待っている、 それもおもちゃ文学の決まりごとなのだろう。(マーズ)
『だれも欲しがらなかったテディベア』 著者:ジャネット&アラン・アルバーグ / 訳:井辻朱美 / 出版社:講談社
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管理者:お天気猫や
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