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英国の児童文学の伝統、 といったときに必ず出てくる名作といえば。 やはり、このグリーン・ノウシリーズは外せないだろう。 ということは重々知っていながら、 今回が初めての体験。
そしてまたボストン夫人といえば、 かの林望さんが英国で夫人の「マナー・ハウス」 (物語の舞台となる館のモデル)に 下宿していたのも有名な話。
62歳で書いた作品が、一躍古典になる英国風不思議。 主人公は、母に死別し、父の愛情を失い、 保護者をなくして帰る場所のない少年、トーリー。 その少年を受け入れ、保護者となってゆく 大おばあさんの、オールドノウ夫人もまた、 主人公である。
物語のなかで息づくのは、キングの『シャイニング』を連想させられる ような生垣動物たち、生きた動物たち、ずっと昔の子どもたち、 歩き出す聖像、悪魔の木… そうしたすべてをリアルに描くために、 この孤独な二人の魂の寄り添う過程が重ね合わされている。
古くて大切な形あるもの、ないものを知っている この人が描いたからこそ、 簡潔な表現のなかに、 その年齢まで持ちつづけている子ども時代が いきいきと大きく小さく、きらめくのだと知った。
トーリーの屋根裏部屋で灯る、彼の大好きな 「夜明かしろうそく」の不思議な影のように。(マーズ)
『グリーン・ノウの子どもたち』 著者:L・M・ボストン / 出版社:評論社
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管理者:お天気猫や
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