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私は固め読みが好きなようで、 週末の連休、恩田陸ばかり読んでいた。 別に意図したわけではないが、 手に取った順に、 『ネバーランド』→『球形の季節』→『六番目の小夜子』 という順に読んだ。 結果として、新しいものから、古いものへと遡っている。
確かに、 「不思議」は無しで、 小説として一番繊細で、 少年たちの心の奥底を掘り下げた、 「醸造」された完成度の高いものは『ネバーランド』であろう。
『球形の季節』と『六番目の小夜子』は、 同じスタイルと、共通するエレメンツがちりばめられた 二卵性の双子の小説だと思う。 噂話や伝説など、都市のフォークロアが、 物語の重要なベースとなっている。
『球形の季節』は、こなれている。 超常的な要素があるけれど、 非常にストーリーの流れがいい。 それに比べると、 『六番目の小夜子』は、著者のデビュー作で、 現在の版が、大幅に加筆修正されたものであるとはいえ、 流れに強引なところもある。 そういうこなれの良くないところが逆に、 読む方にも張りつめたものをもたらす。 一作目というのは、 「巧さ」より、「勢い」があるところがいいし、 アイデアも、斬新で、 やはり、物語の核心部分にせまる、劇中劇ともいうべき、 学園祭での、劇の上演シーンが面白かった。 NHKの少年ドラマシリーズで ドラマ化されていたことも知っていたが、 見てみたいと思いつつも いつものように、「何となく」見過ごしていた。 『六番目の小夜子』は、構成や仕掛けがいい。
実は、私の好きな順番は、 『六番目の小夜子』、『球形の季節』、『ネバーランド』 という順番である。 『六番目の小夜子』は、不思議と日常のバランス。 謎とその答えのバランス。 それらが、私にとっては、ちょうどであった。 楽しんで読めた小説であった。(シィアル)
『六番目の小夜子』 著者:恩田陸 / 出版社:新潮文庫
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管理者:お天気猫や
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