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夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2000年10月01日(日) --

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『クロスファイア』

長編推理小説と名うたれているが、超常的な話である。 超常的な話であるが、その核は日常的な人の「想い」の話である。 いろいろな読み方ができるのだろうけど、どんな小説でもどんな人生でも 月並みに突き詰めていけば、「愛」がテーマとなるであろう。 超常的な能力を持つヒロインの闇の活躍に力点を置いても、 あるいはその能力を持つゆえの悲しみに力点を置いて読んでも、 彼女の幸せを願わずにはいられない。 読み終わって最後にたどり着く想いが「愛」だ。 その「愛」は完結したのだろうか。 せつない想いが凍てつく星のように鋭く胸をさす。

「できると思えば必要のないことまでやってみたくなるのが“神”じゃないか」

ヒロインと同じく超常的な能力を持つ木戸浩一のセリフ。 ずっと、心に残っている言葉である。 何度も何度も反芻した。そう、それは「人」の悲しくも愚かな性だ。 たとえ超常的な能力を持っていても不完全である人間の、 いや不完全であるがゆえに人間であるという、確かな証だったのかもしれない。

まるで映像を見ているようだった。 読んでいる最中に登場人物に具体的なイメージを持つことはないが 「眠れる森」を見終わった頃(98/01/18)に読みはじめたので、 木戸浩一がすっかり「キムタク」。 肝心のヒロイン青木淳子の具象は浮かばなかったが。 でも、中年のおばさんの刑事石津ちか子はやっぱりTVの影響で 市原悦子だった。・・・おかげで読みやすかったけど。(シィアル)

−付記−
今年、映画化され公開されました。
[ 主なキャスト ] 青木淳子:矢田亜希子 / 木戸浩一:吉沢悠 / 多田一樹:伊藤英明 / 石津ちか子:桃井かおり
[ Official Site ]http://www.cross-fire.net/


「クロスファイア」 著者:宮部みゆき / 出版社:光文社

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