頑張る40代!plus

2009年10月15日(木) 孤独と焦燥(8)

さて、求人チェックは毎日やっていたのだが、なかなかこれはというバイトに巡り会わない。
7月末、ノイローゼ生活に飽きてきた時に一つの求人広告を見つけた。
A競艇場の警備員募集だった。
競艇の開催期間に人員整理をする仕事だった。
簡単そうな仕事だと思ったぼくは、早速その会社に連絡を取った。
そして2ヶ月ぶりに面接を受けた。
結果は採用だった。
履歴書を見るなり「来週から来て下さい」と言われた。
「何でこんなに簡単に受かるんだろうか? 前の26回はなんだったんだろう?」とぼくは思った。
とりあえずそこでバイトすることにした。

警備員といっても、周りは年寄りばかりだった。
二三人ほど若い人間がいたが、休憩中にいつも本を読んでいるぼくを見て「あいつ変わっとる」などと陰口をたたいていた。 そいつらとは友達にならなかった。
さて仕事のほうはと言えば、これがまた退屈な仕事で、入場券の自動販売機の前に立って見張りをするだけだった。
これを30分して15分休憩する。一日この繰り返しだった。
最初は、開場前入場ゲート前に並んでいる客の整理をやらされていた。割り込みがないか見張るのである。
「もし割り込みをする人がいたら注意するように」と言われていた。

このバイトを始めて2日目に割り込みを見つけた。
やくざ風の男だった。
『これは注意しないと』とぼくは思い、「割り込まんで下さい!後ろに行って下さい!」と大声をあげて言った。
すると、そのやくざ風は「コラ??、誰に口をききよるんか!」と声を凄んで言った。
「あんたに言いよるんですよぉ。割り込むなっち言いよるでしょうが!」とぼくは応戦した。
「おい、ここでそんなこと言いよったら、命がいくつあっても足らんぞ!」
「わかったけ、後ろに並んで下さい!」

そのやりとりを見ていた上司が血相を変えて止めに入った。
「ここはいい。事務所に戻って」と言った。
納得のいかないぼくは「あんたが注意せえと言うたんでしょうが!」と上司にも食いついた。
顔色を変えているのは、ぼくとやくざ風と上司の3人だけで、それを見ていた多数のお客は笑っていた。
ということでぼくは自動販売機の仕事に回され、客の整理は二度とさせてもらえなかった。


 < 過去  INDEX  未来 >


しろげしんた [MAIL] [HOMEPAGE]

My追加