ぼくが中学生の頃に尊敬していたのは、東郷平八郎だった。 部屋の壁に日の丸を貼りつけ、その横に東郷元帥の写真を額に入れて、いつも拝んでいたものだ。 しかし、それも中学時代までで、高校に入り音楽を始めてからは、日の丸も東郷元帥も外してしまい、代わりに吉田拓郎やボブ・ディランのポスターを貼っていた。
社会に出てからは、さすがにポスターは貼らなくなり、また額に戻った。 だが、その時額に入れていたのは、東郷元帥の写真ではない。 竹久夢二の美人画であり、水墨画であり、般若心経であった。 仕事が殺伐としていたので、心を落ち着けるものを飾っていたわけだ。
その後しばらく何も貼ってなかったが、新聞屋さんからホークスのカレンダーをもらうようになってからは、それを貼るようになった。 けっこう大きなカレンダーだったので、見栄えもよかった。
ところが最近その新聞屋さんは、ホークスのカレンダーをくれなくなった。 というか、ソフトバンクに変わってから、手に入らなくなったのだろう。 いちおう年末にはカレンダーを持ってくるのだが、それは便所の壁に貼るような小さな風景カレンダーだ。
しかたなく現在は、防災情報マップなんかを貼っている。 地図は白黒もので色気がなく、さらに壁と同色ときているので全然見栄えがしない。 やはり色気のあるポスターを貼ったほうがいいか。 とはいえ、今さら拓郎のポスターなんかは貼りたくないし、もう売ってもないだろう。 そういえば、前にキャンディーズのCDセットを買った時に、プレミアムでポスターがついていたような気がする。 あれを探し出して、貼っておこうかな。
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