それから1ヶ月ほどして、またしてもキューキュー音がしだした。 そして、前回と同じように、キューキュー音が止まったあとでエアコンのランプが点滅し始めた。 またしてもTさんに電話である。
「やっぱりエアコンだめみたい」 「えっ?」 「朝また点滅しだしたんですよ」 「全然効かんと?」 「いや、スイッチを押し直したら効くんですけど…」 「で、その後はいいと?」 「それが、またしばらくすると、点滅するんですよ。それでまたスイッチを押し直す。運転中、ずっとそんなことやってます」 「うーん、困ったねえ…。あっ、近々車検やったねえ」 「ええ」 「じゃあ、その時トヨタに持って行って見てもらおう」 ということで、ぼくは車検の日まで汗をかきながら、エアコンのスイッチを切ったり入れたりしていた。
さて、車検の日、トヨタにぼくの車を持って行ったTさんから、さっそく連絡が入った。 「中の部品がいかれとったみたいやね。その部品を取り替えてもらったけ、もう大丈夫みたい」 「また点滅とかしてないですか?」 「うん。今トヨタから会社に戻ってきたんやけど、ずっと点灯しとったよ。よく冷えてるし」 「そうですか」 「車を預かっとる間、様子見てみる。またおかしかったらトヨタに持って行くことにするけ」 「お願いします」
翌日車検が終わり、車が戻ってきた。 Tさんは開口一番、 「あれから様子見とったけど、エアコン大丈夫やったよ」と言った。 「そうですか。じゃあ、もう汗かいて運転することもなくなるんですね」 「うん」 「ああ、よかった」
ところがである。 それから2週間ほどして、助手席に乗っていた嫁ブーが、突然「クーラー直ったと?」と聞いた。 「この間修理したんぞ」 「何か暑いんよね」 「えっ?」 そこでスイッチを確認すると、またしても点滅しているではないか。 例のごとく、Tさんに電話である。
「また点滅してますよ」 「えーっ!?」 「もうだめなんですかねえ?」 「うーん…」 「仮にエアコン買い直すとしたら、いくらかかりますか?」 「20万円ぐらいするやろうね」 「20万…。中古車が買えるじゃないですか?」 「そうやねえ…」 「どうしたらいいですかねえ?」 「中古車あたってみようか?」 「そっちのほうがいいみたいですね」
その後、Tさんはぼくのところにくるたびに、中古車情報を持ってくるようになったのだった。 しかし、これと言ったものが見つからない。 ということで、今また、汗をかきながら会社に通っている。
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