車のエアコンの具合が悪くなってから、もう1年が経つ。 家ではエアコンを使わないぼくだが、さすがに車の中では使わずにはおれない。 直接日が当たるものだから、暑くてならないのだ。
そのカーエアコンが壊れたのは昨年の今頃のことだった。 運転中に、突然助手席の前のところから「キューキュー」という音がした。 最初は気にしなかったのだが、だんだんその音が大きくなっていった。 そこでさっそく懇意にしているカーショップのTさんに見てもらったのだが、「何も異常はない」と言う。 何も異常がないなら、別にかまわんと思って乗っていた。 しかし、キューキュー音は相変わらずだった。
それから1ヶ月ほど経ったある日のこと、今度はそのキューキュー音が突然止まった。 そのとたんにエンジンの音が変わった。 「やはりおかしい」と、よく見てみると、エアコンのランプが点滅している。 「たしかここは点滅じゃなく、点灯していたよな」 そう思って、エアコンの吹き出し口に手を当ててみたら、何とそこから温い風が出ているではないか。
再びぼくはTさんに連絡した。 「この間変な音がするんで見てもらったでしょう」 「うん。異常はなかったよ」 「あの後、その音が止まったんですよ」 「それはよかったやん」 「いや、よくないんですよ。音が止まったとたんに、エアコンが効かんようになったんですよ」 「えっ、エアコンが効かん?」 「そうなんですよ」
ということで、すぐにTさんがやってきて、車を点検してくれた。 「どうも配管が詰まっとるみたいやね。ちょっと持って帰って調べてみる」 そう言って、Tさんはぼくの車を会社に持って帰った。
しばらくしてTさんから連絡が入った。 「最近エンジンルームを開け閉めせんかった?」 「ウォッシャー液入れたけど」 「ああ、その時やね。閉める時に他の部品が配管を圧迫しとるんよ。それでガスが通ってないみたいやね。そこを手直ししてみるけ」 「お願いします」
それから2時間後に車は戻ってきた。 「もう大丈夫。会社からここまでずっとエアコン効いとったよ」 「そうですか」 ということで、その日は久しぶりにエアコンの効いた車で帰ったのだった。
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