嘉門達夫の歌にもあったが、小学生頃、遠足の前の日に「先生、バナナはおやつですか?」と聞く奴が必ずいた。 「おやつは○円まで」と決められていたが、少しでも多くおやつを持って行きたい。 そのために、バナナがおやつだとなると都合が悪くなる。 そこでそいつは、わざわざそういう質問をして、バナナを弁当のおかずということで了解を取ろうとしたのだ。 もし先生が「バナナはおやつです」と言おうものなら、そいつは目の色を変えて「弁当のおかずじゃないですか!」と反論した。
しかし、そう思っているのなら、別に先生の意見など聞かずに、弁当のおかずとしてバナナを持って行けばいいのだ。 もし遠足の時にそれを咎められたら、その時に初めて反論すればいいのだ。 それなのに、遠足の前にわざわざそういう質問をするものだから、話がこじれるのだ。 先生が意地になって「バナナはおやつだ!」と決め付けたら、バナナを持って行く時は、他のおやつを削らなければならなくなるではないか。 そういう思慮のない質問が、どれだけ他の生徒に迷惑をかけているのか、そいつはわからなかったのだろうか。
さて、その「バナナはおかずか、それともおやつか?」である。 それと似たようなことで、ぼくは悩んでいることがある。 それは読書である。 ネットでアンケートなんかに答えていると、必ず趣味を書く欄がある。 そこに読書を入れていいのかどうか、悩んでいるのだ。
30代前半までのぼくなら、躊躇せずに「趣味:読書」と書いただろう。 しかし今は書けない。 それは、その頃読んだ本の影響からだ。
ある本を読んでいると、「読書は本来、自己修養のためのものだから、趣味の範疇で捉えるのは間違っている」というようなことが書かれていた。 その頃のぼくは、中国思想や仏教書にハマっていた。 そのせいで、その記事を読んだ時、大いに共感し、それ以来趣味の欄に『読書』と書くことを避けるようになったのだ。
ところが、ここで問題が出てきた。 実は、「趣味:読書」と書かないと、その欄が埋まらないことがわかったのだ。 確かに作詞や作曲などは趣味の範疇に入るだろう。 だが、すでにそういうことはやめているわけだから、当然現在の趣味ではない。 最近は、ギターも弾いたり弾かなかったりだから、趣味と呼ぶにはおこがましい。 また、以前はドライブと書いてはいたものの、今は休みの日にはなるべく車に乗らないようにしている。 映画もほとんど見ない。 音楽も通勤途中に車の中で聞くだけだ。
ということで、他に書くことがない。 今はブログをやってはいるが、ブログが趣味ということは、突き詰めたら日記が趣味だということになってしまう。 まさか「趣味は日記です」なんて言う人はいないだろう。
まあ、アンケート程度のことなら、まったく興味のない『アウトドア』などというのを書いても問題はないだろうが、それが履歴書の場合はどうだろう? 実は今日、仕事の合間にそのことを考えていた。 学歴や職歴、また資格・特技は嘘を書いたら、経歴詐称になってしまう。 では、趣味はどうなのか? やはり、嘘を書くわけにはいかないだろう。 先にも言ったとおりで、作詞や作曲などは書けない。 アウトドアでは嘘になる。 ということは、読書と書くべきか? しかし、読書は自己修養だ。 たとえそれがマンガであっても、立派な自己修養書である。 さて、もし書くようなことになった場合、どうしよう…。
ああ、こういうのがあった。 「趣味:履歴書の趣味の欄に入れる趣味を考えること」 しかし、こんなこと書いたら、印象が悪くなるだろう。
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