毎週月曜日の午後10時からは、テレビ東京系の『名曲の時間』を見ている。 今日は「青春感動ソング」ということで、70年代後半から80年代にかけてヒットした曲を流していた。 ちょうど桑江知子の『私のハートはストップモーション』が流れていた時だった。 ある疑問が沸いてきた。 そこでぼくは嫁ブーに聞いた。
「おい、この歌、会社に入った頃に流行ったんかのう?」 「えっ、もっと前よ。79年ぐらいやなかったかねえ。わたしまだ高校生やったもん」 「ああ、そうか。おれ、その頃の歌はあんまり知らんけのう」 「昔の歌をあれだけ知っとるのに、どうして?」 「それには理由がある」 「理由って何?」 「それは、東京におったけよ」 「えっ、その当時は東京のほうが情報が多かったやろ?」 「そうやけど、情報を仕入れる肝心なものがなかったんよ」 「何?」 「テレビ」 「えーっ、テレビ持ってなかったと?」 「おう。貧乏人やったけの。久保田早紀の『異邦人』を知ったのは、翌年こちらに帰ってきてからやった。テレビがなかったけ、サンヨーのCM見れんかったけのう。そうそう、クリスタルキングの顔見たのも、翌年こちらに帰ってきてからやった」 「ふーん、そうなん」 「おまえ、テレビのない生活なんか考えきらんやろう?」 「うん」 「千葉の友だちのアパートに遊びに行った時、白黒テレビがあったんよ。他の奴らは『いま時白黒?!』とか言いよったけど、おれにはまぶしかったのう。YMOはその時初めて見た。だから今でもおれの中にある坂本龍一の顔は、白黒なんよ」
「でも、テレビがないとか、いややねえ」 「なければないで、何とか楽しめるもんぞ。あれ以来ラジオを聞くのが好きになったし、何よりも曲作る時間が取れたことが大きかった」 「しんちゃんはそれでいいけど、わたしはやっぱりだめやね」 「もしよ、このテレビが壊れたらどうするか?」 「買えばいいやん」 「でも、液晶とかプラズマとか買う余裕ないぞ」 「あ、そうか」 「そんなの買いよったら、あのバタバタ音のするエアコンの壊れた車に、いつまでも乗らないけんくなるぞ」 「ああ、そうよねえ」 「テレビも車みたいに、60回分割とかできたらいいのにのう」 「そうよねえ」 「あ、そうか。車を買う時にテレビをサービスで付けてもらえばいいんよ」 「ああ、その手があるねえ」 「岡村脅して、付けてもらおうかのう」 「そうやねえ」
ということで、ホンダの岡村君。 ぼくはプラズマテレビを付けてくれるところで車を買うことに決めましたので、報告しておきます。 よろしくね。
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