頑張る40代!plus

2006年01月14日(土) 『ネズミ通り15番地』30周年

 『ネズミ通り15番地』

  部屋の灯りが消える
  おれたちの世界が始まる

 小さな穴から抜け出して
 大きな箱を横切って
 台所の街に急ぐんだ

 寝坊したらおしまいだ
 もうご馳走は残ってない
 今日一日は飯抜きだ

  ここはおれたちの天国
  誰にも邪魔されない
  ネズミ通り15番地

 ところでメリーはおれの生きがい
 みんなが彼女を狙っている
 彼女の家は戸棚の向こう

 犬の遠吠えが激しくなると
 そろそろメリーのお出ましだ
 みんな彼女のご機嫌を取る

  ここはおれたちの天国
  誰にも邪魔されない
  ネズミ通り15番地

 本当は誰もメリーを愛してないんだ
 ただ彼女と一発やりたいだけ
 でも、おれの愛は本物だ

  ここはおれたちの天国
  誰にも邪魔されない
  ネズミ通り15番地


ここ数日、高校時代に作った歌を調べていた。
歌作りを始めたばかりの頃だったが、その頃からぼくはエッセイ的な歌ばかり作っていた。
別に意識をしていたわけではないが、歌作りに励んでいた20代後半まで、ずっとその姿勢で通しているのだ。
ところが、そこに一曲だけ変な歌が混じっていた。
この『ネズミ通り15番地』である。

この歌を作ったのは1976年1月だった。
ぼくが高校3年の時である。
その頃夜中になると、いつも台所でゴトゴトという音がしていた。
その前から数匹のネズミが天井の上を駆け回っていたから、台所のゴトゴト音は、きっと彼らが台所で遊んでいる音だったのだ。
小学生の時に家の中でネズミを見て以来、ぼくはネズミに対して恐怖心を抱いていた。
そのせいで、台所でネズミが駆け回っていると思うと、怖くて怖くて。
その恐怖心から、ぼくは極度の睡眠不足に悩まされることになる。

さて、そのネズミたちがどこから現れるのかというと、やはり台所からだった。
米びつの裏側に抜け穴を作っていたのである。
何度かその穴を板で塞いだ。
そのおかげで、それから1週間ほどはゴトゴト音は聞こえなかった。
だが、それを過ぎると、またしてもゴトゴトという音が聞こえるようになった。
そこで確認してみると、板で塞いだすぐ横にまた穴を空けていたのだ。
ということで、またネズミたちが台所の街で遊んでいる音を聞かされることになる。

睡眠不足は、体にいろいろな影響を及ぼした。
それまであまり出来たことのなかったニキビが頻繁に出来るようになったり、便秘になってしまい、そのせいで微熱の毎日が続いたりするようになった。
「このままだと、おかしくなってしまう。何とかしなくてはならない」
そう思っている時に、一つの寝不足解消案を思いついた。
それがこの『ネズミ通り15番地』である。

ネズミたちは、おそらくこういう意図で台所を駆け回っているのだと、歌にしてしまった。
そして、夜中にネズミたちが台所で暴れ回っている時に、その歌を思い浮かべることにしたのだ。
すると、何となく気が楽になった。
それを続けていくうちに、ゴトゴト音を聞いては、今日あのネズミはメリーにふられたなど思うようになった。
「明日、あのネズミは、どうやってメリーにアタックするのだろう?」
そんなことを考えているうちに、いつの間にか眠ってしまった。
それから、ゴトゴト音を聞くのが楽しみになってきた。
布団の中で、ぼくはメリーを巡るネズミ物語を考えるようになった。
そうこうしているうちに、睡眠不足は解消されていった。

運動が体にいいことは知っていたが、この時初めて歌が体にいいと知った。
それ以来、歌もぼくの健康法の一つとなったのだった。
しかし、それでネズミ恐怖症が解消されたわけではない。
今でもネズミは嫌いである。


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