(その1) イトキョンもお笑い好きだということだ。 そこでぼくが試みに「イトキョン、キレとるやろ?」と聞いてみると、例のナミちゃんと同様に、指を立てて「キレてないですよ」と言った。 ただ、その立てた指はV字だった。 しかも、てらいがあるせいなのか、もしくは年輪のせいなのか、無理にかわいく振る舞っている。 ぼくが「そのノリは、80年代の聖子やろ」と言うと、イトキョンは「プンプン」と言っていた。 ちょっとお笑いの感覚が人とは違うようだ。
(その2) 今度はイトキョンに「欧米かよ」を振ってみた。 「オウベイカヨ…?」 「知らんと?」 「うん、聞いたことない」 「じゃあ、言ってもわからんやろうね」 「えーっ、教えてよ。誰なんね、そのカヨさんって人」 「‥‥。人じゃない」 「えっ、じゃあ何?」 「タカアンドトシのギャグ」 「ああギャグね。で、どんなギャグ?」 「ぶっ、さっき言うたやないね。『欧米かよ』」 「面白くなーい」 「そりゃそうよ。掛け合いの中のギャグなんやけ。それだけじゃ何も意味をなさんやん」 「ああ、そうか」 「機会があったら見たらいい。面白いよ」 「ふーん。じゃあ、今度見てみよう。…フフフ」 「どうしたんね、気持ち悪い」 「わたしは『飲んべえ』よ」 「‥‥」 イトキョン、やはりお笑い感覚が人とは違うようである。
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