2005年12月25日(日) |
カラオケに行く(後) |
その日記に「来がけにゲームをやっていた」と書いたのだが、よくよく考えてみると、ゲームをやったのはたったの3回だった。 その前に充分に充電していたから、そんなにすぐに電池切れになるはずがない。 それ以外にやったことといえば、小倉に着いた時にヒロミに電話をかけたことと、中リンに一次会の場所を詳しくメールで教えたくらいだ。
いったいなぜ電池は持たなかったのだろう。 歌う合間に、ぼくはそのことを考えていた。 とその時だった。 中リンが携帯で、ぼくと嫁ブーのツーショットを撮ったのだ。 それで思い出した。 一次会で、ぼくはしきりにヒロミの変な顔の写真を撮ろうと思って、必死にシャッターを切っていたのだ。 「ああ、それでか」 いよいよ電池がだめになったかと思って心配していたが、そういう理由じゃなかったわけだ。 ようやく合点がいき、ホッと胸をなで下ろした。 携帯の電池ほど高いものはないからだ。
そういえば、ぼくが必死にヒロミの写真を撮っている時、ヒロミも負けじと同じことをやっていた。 そして、その写真をぼくにメールで送ってきたのだ。 ヒロミのメール着信音にしている、久保田早紀の『異邦人』がかかった。 ところが、それを聞いて、ヒロミが驚いた。 「しんたさん、何でこの曲を着信音にしとると?」 「何でって、おれは昔から、ヒロミの着信音はこの曲ぞ」 「わたしもしんたさんからメールが来たら、『異邦人』が鳴るようにしとるんよ」 その会話を聞いていた嫁ブーが、 「あんたたち、ホントによく似とるね」と言った。
ヒロミは、それが嬉しかったのか、娘Mリンに、 「ねえ、Mリン、わたしとしんたさんのメールの着信音同じなんよ」と自慢していた。 ところが、Mリンは「何、その曲?」と言っていた。 さすがに高校生は、知らないようだ。 そうだろう、その歌が流行ったのは、もう26年になるのだから。
そのMリンは、最近の歌ばかりうたっていた。 中リンもそうである。 それにつられて、嫁ブーまでが最近の歌をうたっていた。 最近の歌を何も知らないのは、ぼくとヒロミの二人だけだった。 そのため、二人とも3曲程度しか歌わなかった。
当初ぼくは、最近よく歌っている、新沼謙二の『津軽恋女』を歌うつもりでいた。 だが、この状態で演歌など歌うのは無理があった。 しかたなく、沢田研二や吉田拓郎の歌を歌ったのだった。 一方のヒロミも、けっこう古い歌を歌っていた。 鼻炎をおしてうたっていたが、どの歌も途中でダウンしていた。 ぼくはヒロミに、山本リンダの『きりきり舞い』を歌えと催促した。 しかし、歌わなかった。
それにしても、現役高校生のMリンといい、20代前半の中リンといい、生まれた頃からカラオケがあった世代は、すごく歌が上手い。 ぼくが高校生の頃はカラオケなどなかったので、どちらかというと歌うことに不慣れな人が多かった。 不慣れだけならいいのだが、リズム感もよくない。 それは、今のように正確なリズムの伴奏で歌ったことがないからだと思っている。 宴会で歌う時は、手拍子に乗って歌うしかなかったのだ。 この差は大きいとしか言いようがない。
お約束の2時間が過ぎ、ぼくたちはカラオケボックスを出た。 その後はどこに寄ることもなく、タクシーに乗って帰ったのだった。 しかし、ぼくは心残りだった。 最後まで『津軽恋女』にこだわっていたのだ。 それと同時に、ヒロミの『きりきり舞い』を聞き逃したのも大きかった。 ということで、次回は周りに流されることなく、自分の好きな歌を歌おうと心に誓ったのだった。 きっとヒロミも、大好きな『きりきり舞い』を歌うはずだから。
|