2005年11月06日(日) |
ヒロミちゃんと飲みに行く(2) |
さて当日。 ぼくと嫁ブーは、約束の時間に間に合うように、1時間前に家を出た。 しかし門司は遠い。 JRで30分もかかるのだ。 料金は片道450円である。 およそ市内を移動する価格ではない。 首都圏なら、かなり遠くまで移動できるのではないだろうか。
7時20分頃、門司駅に到着。 そこでヒロミと合流し、例の焼鳥屋に向かった。
店に着いてから、ヒロミは一人でしゃべっていた。 突然、「私たちの関係は、この三人じゃないとわからんよね」と言い出した。 何を言っているんだろうと思っていると、 「知り合いに『私、友だちの旦那と毎日メールしよるんよ』と言ったら、『えっ、それおかしいよ。友だちは、そのこと知っとると?』とか言うんよ。それで『友だちは知っとるよ。でも、何も言わんよ』と言ったんよ。ね、おかしいやろ。私たちの関係は、他の人にはわからんよね」と言うのだ。 別におかしくはない。 ちゃんと「友だちとは高校からのつきあいで、旦那は独身の時に働いていた会社の上司だった。昔は3人でよく遊びに行ったり、飲みに行ったりしていた」と説明すれば、その知り合いも納得するだろう。 ヒロミのことだから、おそらくその説明がなく、突然「私、友だちの旦那とメールしよるっちゃ」と言ったのだと思う。 だから変に思われるのだ。
が、ヒロミの、その突然が面白い。 前に、焼鳥屋の件で電話をかけた時のことだった。 ヒロミはなかなか電話に出ない。 10回ぐらいコールして、ようやく出たと思ったら、こちらが誰とも確認せずに、突然「それがね、○万円かかるらしいんよ」と言いだした。 「えっ?」 電話の向こうで誰かと話しているのかと思った。 「ねえ、保険使った方がいいんかねえ?」 「ああ、おれに言いよるんか」 「うん」 「何の話か?」 「歯よ、歯」 「ああ、歯か」 会社にいた頃も、何の説明もなく突然「悲しいことがあった」と言って帰ったことがある。 昔からヒロミはこうなのだ。
その歯のことで、飲んでいる途中にアクシデントが起きた。 ヒロミが今治療している歯の、反対側の差し歯が取れたのだ。 ヒロミが周りを気にしながら、小声で「しんたさん」と言うので、何かと思って見てみると、ヒロミは舌を出した。 何と、その舌の上に歯が載っているではないか。 「取れたんか?」 「うん」 「ティッシュか何かに包んで、しまっておいた方がいいぞ」 「そうやね」 と言ったのだが、その後何時間も、ヒロミはその歯を舌の上に載せて遊んでいたのだった。
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