2005年11月05日(土) |
ヒロミちゃんと飲みに行く(1) |
先月のことだった。 前々からヒロミに頼まれていた洗剤を、嫁ブーと二人で持って行ったことがある。 その時ヒロミが、「今度いつ休み?」と聞いてきた。 近くにおいしい焼鳥屋があるので行こうと言うのだ。 「都合がいいのは、月末の土曜日やけど。その日なら二人とも休みやけ」 「じゃあ、月末に行こうね」 ということになった。
それから数日後、ヒロミから『歯を抜いたあとに飲みに行ってもいいんかねえ?』というメールが来た。 どうしたのかと思い、電話して聞いてみると、「月末に歯を抜くことになったんよ」と言う。 「おれ、去年歯を抜いた日に、先生に『今日飲みに行ってもいいですか?』と聞いたことがあるんやけど、その時は『別にかまいませんよ』という返事やった」 「じゃあ、飲みに行ってもいいんやね」 「医者がいいと言うんやけ、いいんやないんかのう。ただ…」 「ただ?」 「歯を抜いたあとに飲んでも、おいしくないんよ」 「ええっ!?」 「刺身を噛んでも流血やけのう。半分血を飲みよるようなもんよ」 「じゃあ、行けんやん」 「そうやのう。おいしくないけのう」
「ねえ、しんたさん。まだ予約してないやろ?」 「えっ、おれが予約するんか?」 「うん」 「知らんぞ、その店。しかも門司やないか。ヒロミの家の近くやろうもん」 「あっ、中リンが知っとるけ、頼んでみたら?」 「ああ、そうか。中リンがおったのう」 中リンとは、ぼくの店で働いている子で、ヒロミの家の近くに住んでいる。 実は、その焼鳥屋は中リンの行きつけでもあった。
「中リンに言って、来月頭に予約してもらって」 「来月の頭でいいんか?」 「うん。その頃は、もう大丈夫やろうけ」 ということで、来月頭(11月4日)ということで、話が決まった。 月末、ヒロミからまたメールが届いた。 『2本抜いた』と書いてあり、そこには抜歯後の間抜けな顔の写真まで付いていた。
さて、前日(11月3日)になった。 ヒロミから、『明日何時に予約した?』というメールが届いたので、『明日は7時30分から。「歯抜けヒロミ」で予約入れておいた』と書いて送った。 『歯抜けヒロミ』、この名前にヒロミは引っかかった。 そのメールがきてから、ヒロミはご主人に「しんたさん、『抜歯(ばっし)ヒロミ』という名前で予約したらしいんよ」と言ったらしい。 ヒロミのご主人は、「そんなの嘘に決まっとるやろ!」と言ったらしい。 そう、嘘である。 ぼくは『歯抜けヒロミ』で予約したのだから。
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