朝、会社に着いてから調子が悪かった。 何かフラフラするのだ。 あるパートさんから、「しんちゃん、顔色悪いよ」と言われた。 「顔色悪い?」 「うん」 「朝からフラフラするっちゃね」 「ホークスが優勝を逃したショックで、体調崩したんやないと?」
また、いらんことを言う。 今日はホークスのことを考えまいと思っていたのに、おかげで、またあの悔しさを思い出してしまったじゃないか。 そこで、またこの言葉を口走ることになる。 「ホークスは優勝を逃したわけじゃない。パリーグの代表決定戦で負けただけ。ホークスのシーズン優勝は揺るがん!」
しかし、その言葉にも何か力が入らない。 本当にどうしたんだろう。 まさかパートさんが言うように、本当にプレーオフの影響で体調が悪くなったのかもしれない。 だが、今日の体調の悪さは、そういう精神的なものではないようなのだ。 朝方寒かったから、風邪でも引いたのかもしれない。 そう思って、とりあえず買い置きしている薬を飲んでおこうと、薬の置いてある休憩室に向かった。
しかし、考えてみると、風邪にしては何かおかしい。 寒気にあたって風邪を引いたのだから、当然寒気がするはずだけど、別にそれはない。 額に手を当ててみたが、熱もないようだ。 そこで、いったん薬を飲むことはやめ、様子を見ることにした。
昼頃だった。 ようやく体調不良の原因がわかった。 腹がゴロゴロ言いだしたのだ。 そういえば、昨夜嫁ブーと焼き肉を食べに行ったが、それが悪かったようだ。 いや、別に肉が悪かったわけではない。 ぼくと焼き肉の相性が悪いのだ。
若い頃はそうでもなかったのだが、40歳を超えた頃から、焼き肉を食べに行くといつも腹をこわすようになった。 なぜ腹をこわすようになったのかというと、その頃からあまり肉が好きでなくなったために、焼き肉屋に行ってもビールばかり飲んでしまう。 食べずにビールばかり飲んでいると、当然腹をこわす。 そこで、ここ数年は、あえて焼き肉を食べに行かないようにしていた。 ところが、昨日はそのことをすっかり忘れていた。 「今日は焼き肉でも食べて、昨日のことは忘れよう」という嫁ブーの提案に、ついつられて行ってしまったのだ。
昨日も肉は5切れほどしか食べなかった。 胃の中にあるのは、ビールばかりで、5切れの肉はおそらくそこで泳いでいたことだろう。 それで腹がふくれたので、それ以降は何も食べなかった。 それが悪かったのだ。 大量のビールのせいで、胃や腸が悪酔いしてしまい、それが今日まで残っていた、つまり二日酔いしていたというわけだ。
ま、今は何とか治っているが、もう焼き肉を食べに行くのはごめんである。
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