2005年10月02日(日) |
29年前の日記を読んで |
『街にて』 街路を一人の男が歩いている まるで人生なんか疲れた顔をして ただとぼとぼと歩いている 誰かが声をかけると 憂鬱そうに振りかえり ただふふっと陰気な笑みを浮かべるだけである
「さあ、お行きなさい人よ」 さもすると泣き出しそうな日々 もう秋も、毛糸の目立つ頃の話である 上の詩は、たまたま古い日記を読んでいて見つけたものだ。 日付を見ると1976年10月1日となっている。 当時ぼくは予備校に通っていたのだが、確かにあの頃は秋の長雨のせいか、どんより曇った日が多かったような気がする。 街では、“ペッパー警部”(ピンクレディ)や、“青春時代”(森田公一とトップギャラン)といった、威勢のいい歌が連日のようにかかっていた。 しかし、ぼくの心は晴れやかにならなかった。 おそらく、その年から続く長い浪人生活を、潜在意識が察知していたためだろう。
それにしても、10月で毛糸とは! 地球温暖化が問題になっている昨今とは、気候に大きな違いがある。 こちら北九州地方は、今日もまた真夏日になった。 昨晩家に帰ってからは、ずっとパンツ一枚で過ごしたのだが、それでも体が汗ばんで寝苦しかった。
さて、その年の10月2日の記事は、ただ一言『怠惰』となっている。 ここ5年間は、無理に肩を張って毎日日記を書いているが、その当時は、こんなふうに日記を終わらせていたのだ。 今はなぜ、そういうふうに出来ないのだろう。 午前1時2時を過ぎても、必死にパソコンに向かっている自分がいる。 「それがいったい、何の役に立つというのか?」 と、時々自分に問いかけてみることがある。 が、何も答は出てこない。 いつも最後は「ま、いろいろあるでしょうが、それでも書かなくちゃいけないんです」なんて独り言を言っている。 気がつけば、3時を過ぎているのだ。 自問自答は、寝不足の助長に過ぎない。 でも、またやってしまうのだ。
面白いことに、その翌日の日記に、上記の答らしきことが書いてある。
‥‥ どうして肩を張らなきゃならないんだろう? ぼくたちは、プライドに対してあまりに神経質すぎるんだ。 ‥‥ そうかもしれない。 ここまで生きてきたというプライドに対して、神経質だから、毎日無理を押して日記を付けているのだろう。 もしかしたら、29年前のぼくのほうが、今のぼくよりも大人だったのかもしれない。
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