二、三日前から腰に軽い痛みがあった。 まあ、いつものことなので特に気にすることもなく、そのために何の処置もしていなかった。 普通なら、何日かこの状態が続いて、そのうち治まるのだが、今回は違った。 今日になって、気になるぐらいの痛みに変わったのだ。 立っていると筋を圧迫されたように痛む。 それが嫌でイスに腰掛けると、今度は腰骨自体が痛む感じがする。
長いこと腰痛と付き合ってきたので、こういう時にどうしたら痛みが和らぐかくらいは、体験的に知っている。 その方法はというと、「うんこ座り」をするのである。 こうすることによって、腰の筋が伸び、だんだん痛みが和らいできて、5分以上続けた頃に痛みは消えている。 しかし、完治はしない。 1時間ほどすれば、また痛くなってくる。 そこでまたうんこ座りをする。 この繰り返しをやってるうちに、完全に痛みは消える。
今日もそんなふうで、うんこ座りをやって腰痛を治すことにした。 しかし、仕事中ということもあって、5分間もうんこ座りをするわけにはいかない。 そのため、痛みは完全に取れないでいた。 取れないとなると、痛みがさらに気になってくる。 「歯医者も終わったことだし、そろそろ本格的に腰を治さんといけんなあ」 などと真剣に考えていた。
そういう折だった。 ずっと以前、整体院に行った時に、そこの先生から「姿勢が悪い」と指摘されたことがあるのを思い出した。 「いや、胸を張り腰をピンと伸ばしているから、前から見ると姿勢がいいように見えるんですよ。しかしですね、それが本当にいい姿勢なのかと言うと、そうではないんです。その姿勢を横から見るとですねえ…」 そう言って、先生は鏡の前に立たせた。 「ほら、前から見ると、姿勢よく見えるでしょ?」 「はい」 「じゃあ、今度は横を向いてください」 ぼくが横を向くと、先生は、 「よく見て下さい。体がわずかながら後ろに反ってるでしょ?」 言われてみるとそうである。 「この姿勢が腰に負担をかけてるんですよ」 「はあ…」 「じゃあ、今度はこうしましょうか」 と、先生はぼくの体を少し前に曲げた。 「どうですか?」 「少し前屈みになっているような気がします」 「鏡を見て下さい」 「あっ!」 「これがまっすぐなんですよ。」 確かに横から見ると、まっすぐ立っている。 「この姿勢で立つ癖をつけたら、いずれ腰痛は治りますよ。腰痛も一種の生活習慣病ですからね」
このことをずっと忘れていた。 あの時の腰痛はかなり酷かったのだが、先生の言われたとおりに立っていると、痛みがなくなったのだ。 「そうか、この方法があった」 そこで、腰の力を抜き、少し前屈みになっているような姿勢で立ち、歩くことにした。 気がつくと、腰痛はなくなっていた。 いや、腰を曲げた時だどには、まだ若干の痛みが走るのだが、立っている分には何も問題はない。 しかも、この方法で立ち歩きしていると、あごが上がらない。 あごが上がらないと、肩の力が抜ける。 ということは、肩こりにもいいということだ。 また、自然に下腹に力が入って、腹がへこむというメリットもある。
ということで、当分、この姿勢を実践していくことにしようと思っている。 今後、この方法でのメリットやデメリットなどを見つけたら、逐次ここでお知らせすることにしよう。
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