先日、あるパートさんから、ハンディクリーナーの充電池の注文を受けた。 今日それが入荷したので、さっそくそのパートさんに、「この間の充電池入ったぞ」と伝えた。 「うん、わかった。帰りに買って帰る」 「よろしく」 「ところで…」 「えっ?」 「古い充電池はどうしたらいいんかねえ」 「ああ、古い充電池ね。物によっては捨てられんのもあるけ、取り替えたらこちらに持ってきて」 「わかった。そうする」 「あっ、ちょっと待って」 「えっ?」
その時ぼくは、急にある実験をしたくなった。 前々からやってみたいと思っていたことである。 どんな実験かというと、貴乃花の実験である。 どういうことかというと、花田勝氏が貴乃花に言ったという、例の「法廷で会おうぜ」発言である。 あれだけ聞くと、遺産相続の件で話が付かず、花田氏が法廷に持ち込んで決着を付けようとしているように思える。 が、実際はただの兄弟喧嘩での、売り言葉に買い言葉的な発言だったようだ。 人間というのは、人の言葉尻だけをとって、それを自分の興味ある方向や、自分の都合のいい方向に繋げたがる生き物である。 つまり、前後の話を知らないマスコミや視聴者が、勝手に面白い方向に解釈しただけの話だということだ。
さて、ぼくはそれを応用して、そのパートさんを試してみた。 「その充電池、店長にやったらいいよ」 「えっ、店長に?」 「うん」 「何で、店長にやると?」 「喜ぶんよ」 「えっ、何で喜ぶと?」 「あの人、古い電池とかが好きやけ」 「何で古い電池とかが好きなん?」 「知らんよ。世の中いろんな人がおるけの」 「‥‥」 実験成功である。 そのパートさんは、店長を電池フェチとでも思ったのだろう。 何とも言えない変な顔をしていた。
実際は、古い電池を集めると、それを買ってくれる業者があるらしく、わずかだがお金になるということだ。 つまり、ベルマークのようなものである。 ある学校が教材購入のために、その古い電池集めを実践しているのだそうで、店長はそれに協力しているだけの話だ。
さて、このままでは、パートさんは店長のことを変態と思うかもしれないので、ちゃんと説明した。 「ああ、なんね。そんなことね。私てっきり、あの店長のことやけ、電池の中に入っている何かを集めて、変なことに利用しよるんかと思った」 『変なこと』とは何だろう? いったい彼女は何を想像していたのだろう。 今、無性にそれを知りたい。
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