2005年06月08日(水) |
乗り物の運転なんて大嫌いだ!4 |
フォークリフト免許取得のための大まかな説明が終わり、講義が始まる9時までしばらく時間が空いた。 トイレに行ったあと講義室に戻り、受講票と筆記用具などを机の上に出していた。 すべて出し終えて、周りを見回してみると、どうも様子が違う。 何が違うのかというと、みんなテキストを持っているのだ。 そこで、ぼくの席の後ろに同じ会社の人がいたので、そのことを聞いてみた。 彼も、ちゃんとテキストを持ってきていたのだ。 「テキスト、どうしたんですか?」 「ああ、これ?うちの店にあったの持ってきたんよ。しんた君は持ってきてないと?」 「うちにはなかったですよ」 「そうね」 「でも、そのテキスト、他の人と表紙の色が違いますよねえ」 「うん。これはちょっと古いんかもしれん」 「でも、あるだけいいじゃないですか。どうしたら、テキストが手にはいるんですかねえ?」 「さあ?」
そういう話をしているうちに、1時間目の先生がやってきた。 先生は簡単に講義の概要を説明したあと、さっそく講義に移った。 「じゃあ、241ページを開けて」 やはりテキストがいるらしい。 どうしようかと思ったが、もうどうしようもない。 先生のいうことを、漏らさず筆記するしかない。 こういう場合、要点だけ書けばいいものであるが、学生時代から真面目に授業を聞かない癖がついているため、先生の言うことを要点だけ抜粋するという芸当が出来ない。 とにかくぼくは書きまくった。 1時間目の講義が終わってノートを見てみると、何と5ページも書いているではないか。 こういうことは、生まれて初めてのことだった。
さて、1時間目の講義が終わったあと、ぼくは教官のもとに行き、「すいません。テキストどうしたらもらえるんでしょうか?」と尋ねた。 「えっ、テキスト持ってないんかね?」 「はい」 「ちゃんと会社に配布しとったんやけどねえ」 「もらってないです」 「もらってない?」 「はい」 「会社はどこかね?」 「○社ですけど」 「担当は?」 「総務の×さんです」 「×さんか。何でテキストを渡さんかったんかねえ」 「さあ?初めて担当したと言っていたから、忘れたんじゃないですか」 「ああ、初めての担当か。それならありうるなあ。しかし、あんたの会社はもう一人いたんやないんかねえ?」 「はい、いますけど」 「その人は持ってきたんかね?」 「ええ、持ってきてるのは持ってきてるんですけど、古いテキストなんです」 「古いテキストじゃだめやろ。法も改正になっとるし」 「そうですか」 「じゃあ、テキスト2冊渡しておくから」 「すいません」 「しかしあんた、テキストなしで、よく1時間目の講義がわかったねえ」 「ええ、必死でノートとりました」 「まあ、しっかり勉強してください」
ということで、その日と翌日の二日間、ぼくは寝る間を惜しんで、そのテキストと取っ組み合いをしたのだった。 こういうことをやるのは、実に、高校1年の時に受けた追試の勉強以来のことだ。 で、試験はどうなったかというと、現在結果待ちである。 まあ、問題は簡単だったので、おそらく合格はするだろう。 それはいいとして、問題は次に待っている実技である。 これが一番嫌なのだ。 憂鬱である。
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