2005年06月07日(火) |
乗り物の運転なんて大嫌いだ!3 |
現地(研修所)まで来たのは、集合時間の6分前だった。 「間に合った」と思ったのもつかの間、運悪く駐車場が空いてない。 路上に駐めるわけもいかないので、どこか駐めるところはないものかと、そのへんをグルグル探し回った。 研修所から少し離れた場所に、それはあった。 ぼくはさっそくそこに車を駐めた。 時計を見ると8時27分になっていた。 「あと3分か、こうなったら走るしかない」 と、ぼくは上り坂の道を必死に走っていった。
その途中でのことだった。 走った勢いで、胸のポケットに入れていた携帯電話がこぼれ落ちてしまったのだ。 そう、先週の金曜日に買ったばかりのヤツだ。 拾ってみると、カメラのレンズ周りと電池カバーのところに傷が入っている。 「あーあ」 と、ぼくは大声を張り上げた。 しかし、嘆いている暇はない。 さっさと走らなければ間に合わない。 ようやく、研修所前に着いたのだが、最後の難関があった。 研修所の玄関までは階段になっているのだ。 階段は30段ほどある。 「これを登るんか…」 とにかく、何年かぶりに走ったので、すでに息は上がり、足はふらついている。 とはいえ、登らないと間に合わない。 ダッシュモードで、ぼくは階段を駆け登った。
館内に入ると時間は8時30分になっていた。 ぼくが時間を確認したのと同時に、「キンコンカーンコーン」とチャイムが鳴り響きだした。 受付に「すいません。フォークリフトの講習どこですか?」と尋ねると、「3階です。正面の階段を上がっていってください」という。 また階段である。 またもやダッシュで館内の階段を駆け登り、ようやく講義室についた。 講義室の中に入ると、幸いまだ教官は来てなかった。 「間に合ったわい」 そう思ったとたん、急に気分が悪くなった。 さらに動悸はするわ、咳き込むわ、腹は痛いわで、これから講習を受けられるような体調ではない。 しかし、いくら気分が悪くとも、ここにいなければ失格になってしまう。
そうやって、気分の悪さと闘っているところに、教官が登場した。 教官は講義室に入るなり、「えーと、しろげさんはおるね?」と言った。 ぼくは「はい」と言って手をあげた。 「ああ、間に合ったんやね。今日は渋滞がひどいらしい。他にも何人か渋滞に巻き込まれた人がおってねえ。しかし、よく間に合ったねえ」 いつもなら、ここで「裏技を使いましたから」とか言うのだが、何せ気分が最悪なので、そんな言葉が出てこない。 ぼくは黙って頷いていた。
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