5月20日の日記に書いたように、11月末から始まった歯の治療も、いよいよ最終段階にきた。 最後に治療する歯は左下の親不知である。 この歯は20年ほど前に一度治療している。 その時に神経も取っており、そのあとを銀冠で密封していた。 最近まで何事もなかったのだが、先日隙間が出来ているのを発見し、それが舌を挟んでしまうので、先生に治療を頼んだのだ。 20日の治療後にレントゲン写真を撮り、この火曜日に治療が始まった。
先生が言った。 「この間レントゲン撮った歯ですけど、虫歯になってますねえ。隙間から菌が入ったんでしょうね」 「えっ、隙間は最近出来たものなんですけど…」 「そうですか。もしかして、以前この歯を治療した時に違和感を感じませんでしたか?」 そういえば…、 以前この歯をかぶせる時に、そこの歯ぐきから血が出ていた。 その時の歯医者は、そんなことをかまわずに歯をかぶせたのだった。 そのせいか、いつもその歯だけは血生臭く感じていた。
さて、治療が始まった。 一番奥なので、銀冠を外すのに苦労しているようだった。 銀冠が外れたのは10分ほど経ってからだった。 「外れました。えっ!?」 「えっ?」 「これはひどい。こりゃ根元まで虫が食ってますよ。ちょっと調べてみないとわからないけど、ひどい場合は抜くことになりますよ」 「‥‥」 「ま、ちょっとやってみますね」
あのドリルみたいなので、けっこう深く削ったあと、針でそこを刺しだした。 「痛いですか?」 「いや、痛くないです」 「そうですね。神経はとってありますからね。でも、痛ければ言って下さい」 この歯医者に行き始めた頃にも同じことを言われた。 その時は、「神経がないなら痛いはずがないやん。この先生、おかしなことを言うなあ」と思っていた。 だが、徐々にその意味がわかるようになった。 つまり、神経はとっていても痛みは伴うということである。 なぜそうなるのかはわからないが、痛いものは痛いのである。 きっと治療によって、その周辺の神経が反応するのだろう。
その後20分ほどして、先生は「どうにか歯は抜かなくてすみそうですね。そこで治療ということになるんですが、根が深いからすぐには治りそうにありませんので、徐々にやっていきます」と言って、その日の治療を打ち切った。
さて、家に帰ってしばらく経ってからのことである。 何か治療した歯が普通でないのに気がついた。 削っているから、上の歯に触れるようなことはないのだが、少し痛い気がする。 おかしいなと思って、そこを指で触れてみると「ズキン!」とした。 小学4年の時に、生まれて初めて味わった歯の痛みと同じような、重い痛みだった。 最初は、治療したばかりだからそうなるのだろうと軽い気持ちでいた。 ところが、翌日もそして今日も痛みは治まらない。 そして今夜、この日記を書こうとした時に、ついにそのピークがやってきた。 左側の頬全体が痛くなったのだ。 そこで、日記は後回しにして、とりあえず寝ようとした。 しかし、痛みのためになかなか寝付けない。
その時、高校時代の保健の先生を思い出した。 何でこんな時に、あの先生のことを思い出すのだろう。 と、しばらく考えていた。 「あ、そうか!」 ぼくは、あることに気がついた。 その先生の授業で痛み止めのことを言っていたのだ。 「痛み止めは、少しの痛みにはあまり効果はない。痛みのピークの時に飲むのが一番効果がある」 そう言って、自分の体験記を話してくれたものだった。 その話を聞いて以来、ぼくは痛み止めをあまり服用しなくなったのだ。
「そうか、今が痛みのピークか。ということは、服用するなら今だ」 そう思って、これまでどんなに痛くても決して利用することのなかった、痛み止めの錠剤を取り出した。 この錠剤は、12月に歯を抜いた時にもらったものである。 ようやく日の目を見ることになったのだ。 飲んでからしばらくは痛みがあって眠れなかったが、そのうち薬のが効いてきたのか眠ってしまったようだ。 朝起きると、歯に少し違和感は残っているものの、痛みはすっかりなくなっていた。 おまけに、他の歯に残っていた軽い痛みも、すっかり取れてなくなっていたのだ。
現在、翌27日の午後1時ちょうどである。 痛みのせいで、かなり日記の更新が遅れてしまったわい。
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