今の会社に入り、車で通勤するようになってからは、鞄などを持って行く習慣がなくなった。 前の会社のように、家に仕事を持ち帰ることもないので、資料や書類を持ち歩くこともなくなり、さらに電車通勤の友となっていた文庫本なども持って行くことがなくなったため、鞄の必要性がなくなったのである。
では、その他のアイテムをどこに入れているのかというと、弁当や水筒以外は、すべてポケットである。 ということで、ポケットの中には、いつも財布(小銭入れ)・免許証兼カード入れ・鍵・タバコ・携帯などが入っている。 では、そういったものをどのポケットに入れているかというと、冬場はジャンバーを着るので、財布とカード入れと鍵はズボンのポケットに、タバコはシャツの胸のポケットに、携帯はジャンバーのポケットに、と分散して入れている。
ところが、ジャンバーを着ない夏場はそれができない。 そこで、携帯はタバコといっしょに胸のポケットに入れている。 最初は、タバコといっしょに入れると、胸のポケットがかさばってしまうのでズボンのポケットに入れていた。 しかし、ズボンのポケットに入れていると汗ばむし、さらに運転中だとそれが気になってしまう。 ということで、胸のポケットに変えたのだ。
さて、今朝の出勤途中のことだった。 最初の信号待ちの時、胸のポケットに手をやり、タバコを取り出そうとした。 「あれ?」 胸の膨らみがやけに小さいのに気がついた。 タバコはちゃんと入っている。 もちろんライターも。 ということはだ、携帯が入ってないのだ。 慌ててズボンのポケットを探ってみたが、そこにも入ってない。 「忘れた!」
そこで、いったんUターンして、携帯を取りに戻ろうかと思った。 しかし、今日はギリギリに家を出いるので、取りに戻ったりしていると時間に間に合わない。 「まあ、1日くらいなくてもいいか」 そう思って、会社に向かった。
だが、その途中にも、「待てよ。携帯がないということは、時間がわからん」「空の写真が撮れん」「ニュースが読めん」「ホームページが見れん」「クロスワードが出来ん」「将棋が出来ん」などと考えていた。
ぼくは、腕時計は数多く持っているものの、それをする習慣がない。 そのため、時間を確認するのはすべて携帯なのだ。 また、『空の日記』を始めてからは、毎日携帯で写真を撮っている。 新聞を読む暇がないので、いつも携帯でニュースを確認しているし、人様のホームページも携帯で見ている。 毎日3万円が当たるクロスワードを解き、応募するのが日課になっている。 将棋は…、ご愛敬である。 これらすべてのことが、今日は出来ないのだ。 ぼくにとって携帯を忘れるということは、極端に言えば、パンツをはき忘れて会社に行ったのと等しいことなのである。 つまり、落ち着かない。
ということで、今日は一日落ち着かなかった。 仕事中も、気がつけば「もしここに携帯があれば、今頃は…」などと思っているのだ。 おまけに集団窃盗団が来たり、万引き常習犯が来たりして、ろくな一日ではなかった。 こういうことも、すべては携帯を忘れたことから始まっているのだ。 今日という日は、ぼくがいかに携帯漬けになっているのかを自覚した日であり、一日を平和に過ごすためには携帯が必要不可欠だということを発見した日となった。
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