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2005年05月18日(水) ヒロミちゃんと再会する

ぼくの家からヒロミの家まで、渋滞してなくても車で4,50分はかかる。
ぼくの家が北九州市の西の端であるのに対して、ヒロミの家は東の端にあるからだ。
それを考えると、北九州市は広い。

実は昨日、そのヒロミの家に、嫁ブーと二人で行ったのだ。
嫁ブーがヒロミから頼まれていた物があって、それを届けたのだが、ぼくとしては10数年ぶりの再会となったわけだ。
夕方6時頃に家を出たため、当然市内の道は渋滞している。
そのため所要時間4,50分が、1時間半以上かかることだってありうる。
ということで、昨日は都市高速を利用した。
そのおかげで、ヒロミの家の付近でちょっと迷ったものの、30分程度で着くことができた。

さて、ヒロミとの久しぶりのご対面である。
ぼくたちが着くと、ヒロミは玄関を開けて出てきた。
10数年前に会った時のヒロミが、そのままそこにいた。
相変わらず若くてきれいな顔をしていた。
誰が見ても、まさか高校生の子を持つ母親だとは思わないだろう。
「おお、ヒロミやないか」
「しんたさん、久しぶりやねえ」
「ヒロミは全然変わってないのう」
「しんたさんだって変わってないやん」
「いや、白髪が増えた」
「‥‥」

ヒロミはさっそくぼくたちをリビングに案内してくれた。
うちのリビングよりも、はるかに広く感じた。
「ここ何畳あるんか?」
「16畳くらい」
「うちは14畳やけど、ここはかなり広く感じるのう」
すると嫁ブーが「ああ、ここはキッチンが別になっとるけよ。うちはキッチン込みやん」と言った。
「そうか、それでの」

それからソファーに座り、思い出話に花が咲いた。
しばらくして、ヒロミが「コーヒー、ちょっと薄いけど、いつも豆は変えよるけね」と言って、コーヒーを出してくれた。
確かに薄かった。
が、別に気にはならなかった。
それよりも、「いつも豆は変えよるけね」に笑ってしまった。
結婚しても、子供が出来ても、ヒロミはヒロミだった。

思い出話といえば、ヒロミはえらく古い話をした。
それは24年前のことだった。
会社のオープンに伴って、ぼくたちは研修を受けていたのだが、その時ぼくはヒロミと同じグループだったのだ。
ヒロミはなぜかその時のことを覚えていた。
「ねえねえ、しんたさん。あの研修の時にビクターに行ったやん」
「そうやったかのう?」
「うん、行ったっちゃ」
「そうか」
「でね、あの時天丼食べたやろう」
「えっ、食べたかのう?」
「食べたっちゃ。あの天丼、どこの天丼かねえ」
「知るわけないやん」
「あれ、そーとーおいしかったんよね。あの味が今でも忘れられんのよ」
「よく覚えとるのう」
「今度調べとってね」
「だから、わからんっちゃ」
「あ、そうか。探偵ナイトスクープに頼んだらいいんか」
「‥‥」

ヒロミは近所のことにやたら詳しかった。
どこどこの家の子は九大に行ったとか、あそこの長男は小倉高校とか言って、その人たちのことをまったく知らないぼくたちに、口泡を飛ばし説明していた。
しかし、その一人一人の説明をしたあと必ず、「でも、どの学校にいったなんか関係ないよね。東大行ってもバカはバカやもんね」と付け加えていた。
確かに学歴は関係ないと思うが、それにしては、近所に住む成績のいい子のことをヒロミはよく知っている。

ヒロミによると、「関門橋のめかりパーキングエリアのソフトクリームがそーとーおいしい」らしい。
ぼくが「壇ノ浦パーキングエリアのはどうなんか?」と聞くと、「あそこはだめ!」とあっさり言った。
ということで、今度ソフトクリームを食べるだけのために、関門自動車道に乗り、めかりパーキングエリアに行く約束をした。
しかし、その際、どこのインターで降りたらいいのだろうか?
めかりは市内であるが、その先の降り口は、下関市なのである。

ヒロミの家には2時間ほどいた。
帰る間際、ヒロミは「Mリーン」と言って、2階にいた娘を呼んだ。
降りてきた娘は、かわいくて感じのいい子だった。
Mリンはぼくたちを見ると、「こんにちはー」と言って挨拶した。
Mリンは、ぼくがいつも嫁ブーの変な写真をヒロミに送っているので、嫁ブーのことを変な人だと思っていたらしい。
嫁ブーは、必死に「そうじゃない」と否定していた。

靴を履いている時だった。
突然、ヒロミがMリンに「あんたうんこする時に読むために、トイレにマンガを置いとるやろ」と言った。
出ました、ヒロミ得意のうんこネタである。
ヒロミは最後の最後まで、いっしょに仕事をしていた頃とまったく変わってなかった。


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