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2005年05月05日(木) 暇地獄

【1】
ゴールデンウィークのような大型連休になると、人はどうしても広域集客型のデパートや、大型量販店に集まる傾向にある。
そのため、ぼくが勤めている会社ような、地域密着型の店舗というのは、どんな大きなイベントをやろうともなかなか人は集まってこない。
どうかすると、平日よりも客の入りが悪いことさえある。
それに加えて、日祭日はどこの取引先も休みだから、荷もあまり入ってこない。
しかもゴールデンウィークのための準備は出来ている。
ということで、この時期はあまりやることがない。

そのくせ日祭日なので従業員は多く出勤してきている。
そのため、ちょっと時間を食いそうな仕事でもすぐに終わってしまう。
そうなると当然暇な時間が出来てくる。
まあ、パートさんはほとんどが4時間勤務なので、あまり暇な時間というのはないだろうが、長時間拘束されているぼくたち社員は、所々に暇が出来る。

そこで、どうやってその暇な時間を潰すかが問題になってくる。
忙しい時間というのはさっさと過ぎ去っていく。
ところが、暇な時間はなかなか過ぎないものである。
暇なら暇でよさそうなものであるが、これが苦痛なのだ。
地獄にいるように感じられることすらある。
ということで、暇という地獄に耐え、乗り切るることも、我々社員に課せられた仕事の一つだと言える。

【2】
今日は昼から暇になり、さて何をしようかと思っているところで、オリックスvsソフトバンクの中継が始まった。
ということで、今日の暇地獄はその観戦で乗り切ることにした。

さて、わがホークスは、前節のロッテで3連敗を喫したものの、一昨日からオリックスに連勝している。
今日もいいペースで試合は進んでいた。
相変わらずお客さんが少ないので、テレビはぼくが独占していた。
ところが、ホークスが点を入れ始めた頃、二人の婆さんがカートを押してやってきた。
どちらも70歳を過ぎているように見えた。
何か商品を探しているのだろうと見ていると、婆さんたちはテレビがあることに気づき、、ぼくの目の前を行ったり来たりしだした。
時折そこで立ち止まり、二人で会話をしている。
その会話というのが、婆さんに似つかわしくない内容なのだ。
「このテレビは映りがいいけど、ブラウン管か。今は液晶の時代のにねえ」だとか、「DVDの時代だからもうビデオは流行らん」などと言っているのだ。
他にも話の途中にITだのインターネットという言葉が出てきた。

しばらくそのへんをウロウロしていたが、その後再びテレビのところにやってきた。
「今日はテレビで野球をやっとるんやねえ」
「ああ、よかった。ソフトバンクは勝っとる」
「6-0か。今日も勝つやろうね」
「そういや、今どこかのチームがずっと勝っとるらしいね」
「ロッテやろ」
「そうそう、ロッテ、ロッテ」
「何であそこは負けんのかねえ?」
「ホント胸くそ悪いねえ」
「もうロッテの商品は買うまいや」
さすが、地域密着型チームである。
こんな野球に縁のなさそうな婆さんたちまで応援しているのだ。

しかし、「もうロッテの商品は買うまいや」には笑ってしまった。
もし、他のチームの調子が良かったら、婆さんたちはどうするのだろうか。
きっと日ハムなら「もう、ハム食べまいや」となり、西武なら「モールに行くのはやめようや」となるだろう。
それならオリックスや楽天の場合、どうなるのだろうか?
「もうオリックスで金借りまいや」とか「楽天で物は買えんなあ」となるのだろうか?


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